上海に行ってきた〜(1)雑感
夏の休みを利用して上海に行ってきた。この時期に北京オリンピックとは無関係に上海に行ってきた。3泊4日の個人旅行だ。オリンピックの熱狂や喧騒はそれほどでもなくて、街頭での大掛かりなテレビ中継やパブリックビューイングなども見られなかった。このあたりは、問題を抱えたままの開催だったこともあって、暴動につながる恐れがあるなどとして、国によって厳重に制限されているのだろうか。
まあ、それはそうとして、私は中国訪問は今回が初めてだった。そして、この国の複雑な魅力にとりつかれたような感覚をいま持っている。
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晴れているのに霞んでいて景色がよく見えない。太陽すら灰色のカーテンで覆われているようで、日光が見えない。大気汚染の影響なのか。
雨が降ると、どこからともなく傘売りがやってくる。どこかで待機していなければ出てこられないくらいの、実に早いタイミングでやってくる。
雨脚が強まると人がいなくなり、雨がやむとどこから沸いて出たのか、すごい人出になる。観光客や写真を撮っている人もいるが、何もしていない人が多い。ただそこにいるという感じでいる。
密着度や人口密度のレベルが日本とは違う。それに比例して、物売りの数も多い。
豫園も観光地だけあって人が多かった。ここも何もしていない人で溢れている。有名観光地に行ってただブラブラしている。反面、「ゆっくりお茶が飲める=お金がいる」場所は空いている。
日本を含め、多くの先進国では、例えば、歩くということは、あれを買いに行くとか、何かの目的に向かって歩くということだし、そこにいるということは何かの目的のためにそこにいるということだと思うのだが、この国ではまだ、ただ、いる、とか、ただ、歩くということがまだ普通にありうるのだと思った。
巨大なビルが濫立し、華やかなショッピングエリアが出現する一方でスラム街が広がっている。2010年の上海万博を控え、外資系高級ホテルも建設ラッシュ。これらに携わる建設労働者はきっと利用することはおろか、ホテルの前にいるだけで追いたてられるのだろうと思うと、何だかなあと思う。
混沌とした交通。レースをしているような運転。青信号でも歩行者は危険。曲がってくる車は歩行者を人間と意識しない。バスなどの公共交通機関もそれに順ずる。追い越し車線から一台抜いて強引に右折する車(上海は右側通行なので追い越し車線は左側になる)。バイクはノーヘル。遅い車には容赦なくクラクションを鳴らす。油断していると時々、リアカー付きの自転車も走っている。さすがに牛車は見なかった。
複雑な物価体系。地元向けのものは安く、外国人や富裕層向けのものは高価だと思った。だから「元」の下の「角」まで、幅広い単位が必要とされるのかと思った。
肉まん1個1元(地元の店で)。有名店なら5元。北京ダック1羽で74元。上海蟹1杯100元より。ミネラルウォーター1元6角(国産)。エビアンだと5元程度。ハーゲンダッツのアイス50元。外資系コーヒーショップのコーヒー44元。北京オリンピックのキャラクターストラップ1個で24元。タクシー初乗り11元。高層ビルの展望台への入場料70元*6。
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日本も格差と貧困が問題になっているが、中国はその比ではないらしい(だから日本がマシというわけではない)。こんなに格差が広がっていいのかとか、外資を呼び込んでいいのかとか、自由がなくてよいのかとか、他国民ながら、国づくりを心配する気持ちになってくる。
でもきっとそんな心配は無用だろう。何しろ、歴史のある国だ。日本の弥生時代の終わり頃に、三国志の英雄たちの物語が繰り広げられていたような国だ。
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