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ハイティンク&ロンドン響によるブラームス


ベルナルト・ハイティンク&ロンドン響によるブラームス交響曲全集を聴いている。


発売元の「LSO Live」は、ロンドン交響楽団による自主レーベルで、前・首席指揮者のコリン・デイヴィスや、現・首席指揮者のヴァレリーゲルギエフによる演奏などのライブ録音が、実演からそれほどの期間を経ずにリリースされている。私はCD店で買っているが、ネットのiTunesストアで買うこともできる。


最近ではゲルギエフマーラーに精力的に取り組んでいて(現在、1・6・7番が発売済み)、日本にいながらさほどのタイムラグを経ずに、現代の巨匠の実演に親しむことができて嬉しい。


ハイティンクとロンドン響による録音としては、2005年から2006年にかけてのベートーヴェン・チクルスがたいへんな評判になったのが記憶に新しい。これについてはいずれ書きたいと思う。


さて。ブラームス


Symphonies 1-4 / Double Concerto

Symphonies 1-4 / Double Concerto


ハイティンクとロンドン響によるブラームス・チクルスは、2003年に1番と2番が、2004年に3番と4番がロンドンのバービカンセンターで録音された。


ダブル・コンチェルト(ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲)やセレナーデ2番、悲劇的序曲なども収録されていてお得。


取り立ててここが尖っている、という際立った個性はないが、骨格のしっかりした音楽作りで、質実剛健なオケの音色・響きもあって、なかなかの名演。


1番は押し込められた情熱と言うか、屈折したパッションが、最後に爆発する様が実に鮮やかに描かれている。「暗」から「明」に至る展開に説得力があって、あるいはクラシック音楽とはこういうシンプルなものなのかもしれないなと思った。覇気に富んでいて若々しい名演となっている。


2番は全集中ではやや劣る。音色に瑞々しさがもう少し欲しいが、これはオーケストラの個性なので、シュターツカペレ・ドレスデンのように骨董品のような艶やかな音色とはいかない。とはいえ平均以上の演奏である。


3番はゆったりしたテンポで曲の旨みを隅々まで味わいつくす。よい昆布を使って採った出汁のようだ。あるいは、ガムを噛み続けると味がなくなってくるが、最後まで味がある感じ。


4番は1番と並んで際立って優れた演奏。4番は若い指揮者だととりあえずやってみた、という背伸び感がとれないところがあるので、ベテランの指揮者はそれだけで安心。憎いほど老練しているが、ハイティンクの音楽作りからは、枯れているばかりでなく、円熟した壮気がよく出ている。第4楽章などは渾身の演奏でゾクゾクする。


カリスマ的な指揮者が亡くなってしまったり引退してしまったりで、巨匠がどんどんいなくなって、ハイティンクは最後の巨匠だと言われる。天才ではなかったが、実直に努力をしていった結果、最後には一番の高みに達していた。私にとってハイティンクはそんな指揮者で、ブラームス・チクルスも水準が高い。


これから聴ける期間はあまりないかもしれないが、追って行きたい指揮者の一人だ。


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