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大フィル・第421回定期/チェコ・プログラム


大阪フィル(以下、大フィル)の9月の定期演奏会に行ってきた。


私は7月の定期演奏会に行けなかったので、2回ぶりの演奏会となる。今年の大阪クラシックには足を運ばなかったし、クラシック音楽のコンサート自体、大フィルの7月の朝比奈隆生誕100年記念特別演奏会以来、2カ月ぶりだ。


http://www.osaka-phil.com/dbimages/20080918.jpg
(↑写真は大フィルのHPより)

大阪フィルハーモニー交響楽団
第421回定期演奏会

2008年9月18日(木)、19日(金) 
ザ・シンフォニーホール 18:00開場 19:00開演


指揮:ラドミル・エリシュカ
独唱:慶児道代(S)※
   ヤナ・シコロヴァー(A)※
   ミハル・レホトスキー(T)※
   マルチン・グルバル(B)※
独奏:室住素子(Og)※
曲目:
ドヴォルザーク/序曲「自然の王国で」作品91
モーツァルト交響曲第38番ニ長調プラハ」(K.504)
ヤナーチェク/グラゴール・ミサ


ドヴォルザークの序曲「自然の王国で」はそんなに有名な曲ではなく、大傑作でもなく、まあ佳作という感じだが、なかなか好感を持てる曲だ。インパクトはそれほどないが、聴き込むうちにじわじわと魅力に気付いてくるような曲だと思う。ごく短い曲というわけではなく、15分くらい。


ラドミル・エリシュカ氏の指揮は、特段変ったことをしているわけではないが、スケール感があって、大フィルとも合っていたし、今夜は良い音が出ているなと思った。オーケストラの音に指揮者が「うん、うん、(この音だ)」とうなずく場面が何度も見られた。


モーツァルトの「プラハ」。モーツァルトザルツブルク人だが、プラハとの縁が浅くない。プラハの聴衆からは快く迎えられたし、オペラ『ドン・ジョバンニ』、そして今夜の「プラハ」の初演の地でもあった。


プラハ」でも、別段オリジナルな解釈は見られないが、シンプルで王道を行く音楽だった。1970〜80年くらいのドイツ・グラモフォンレーベルの看板であった、ベームクーベリックがやっていたような演奏に近い。いつもの大フィルよりは抑えた感じで、なかなか良かった。いつでも大フィルの音は良くも悪くも大フィルサウンドという感じなのだが、今夜は、例えるなら中欧のオーケストラ風の音色で、「チェコ・フィルか?」と錯覚するほどであった。指揮者で音がこれだけ変わるのは過去あまり経験がなかったことだ。


私はモーツァルト交響曲を聴くと、自分がなくなって、音楽だけが存在しているような錯覚を覚える。忘我の気分になるというか、空虚で虚ろな気分になる。それは音楽があまりにも素晴らしいからなのだが、まるで音楽の原理の中に溶け込むような感覚になる。もちろん、すべての演奏でそうなるというわけではなく、あるいは逆に、良い演奏でないとそうならないのだが、今夜は第1楽章でそんな感覚に陥った。第2・3楽章も悪くはなかった。刺激的ではなかったが、本格的なモーツァルトだった。


ヤナーチェクのグラゴール・ミサは、圧倒的な演奏だった。ここ数年の大フィルの演奏会の中でも相当上位に入るほどの演奏だった。


4人の独唱、四声合唱団に加え、オルガン独奏まで入る大規模な作品で、演奏時間は40分程度とそれほど長くないものの、演奏にかかる労力とコストを考えると、大曲といってよいと思う。合唱入りの大規模な作品というと去年の定期演奏会フォーレがあったが、その時は指揮者の大植さんが急病キャンセルで、熱演ではあったものの七掛けくらいの印象だった。


それで今夜の演奏だが、冒頭から最後まで手に汗を握りっぱなしで、ただならぬ緊張感だった。この演奏で寝られる人があれば尊敬したい。大フィルの力強く、艶のある弦セクションは健在で、木管金管、打楽器も頑張っていた。


4人の歌手もさすがにチェコ人かチェコにゆかりのある歌手だけあって、お国ものをやるような説得力があった。とにかくホールを良く鳴らしていた。


オルガン独奏は雷に打たれるような衝撃だったし、合唱も精一杯やっていた。


終演直後は腰が抜けて動けないような脱力感があった。こんなすごい演奏をやってのけたのに指揮者の姿勢はいたって謙虚。ステージマナーも「素晴らしい」の一言で、胸がいっぱいになる演奏会だった。


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