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交響曲「イタリアのハロルド」


ベルリオーズ交響曲は、お国ものだからと言う理由だけではないが、フランスのオーケストラで聴きたい。


ベルリオーズ交響曲は大規模かつ荘厳でなので、まず金管が盛大に鳴らないといけないし、多少乱れても音色に明るさがあるほうが良いと思っている。


例えば、「幻想交響曲」で言えば、シャルル・ミュンシュとパリ管による録音はこの曲の超名盤として定評があるし、チョン・ミュンフンとパリ・バスティーユ管による演奏もよかった。フランス以外のオーケストラでは、北米のオーケストラも相性がよく、クラウディオ・アバドの指揮によるシカゴ響の録音も良かった。カナダのモントリオール響も合っている。どれも、熱気と音色の明るさが共通している。


交響曲「イタリアのハロルド」もそういう風に演奏してほしい。


ベルリオーズの「イタリアのハロルド」は交響曲ではあるが、実際はヴィオラ協奏曲といっても良いくらいヴィオラの独奏が展開する曲だ。ストラディバリウスのヴィオラを手に入れたパガニーニに注文されて書いたという逸話があるが、定かではない。


この曲は、英国の詩人バイロンの物語詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」にモチーフを得ている。次のような展開で、巡礼の旅に出かけたハロルドが山賊に殺されるまでを描いている。

ベルリオーズ交響曲「イタリアのハロルド」


第1楽章「山におけるハロルド、憂愁、幸福と歓喜の情景」

第2楽章「夕べの祈りを歌う巡礼の行進」

第3楽章「アブルッチの山人が愛人によせるセレナード」

第4楽章「山賊の饗宴、回想」


ヴィオラ独奏によって表現されるのは「ハロルドのテーマ」で、これが全曲を貫く主題となる。


先に実質的にはヴィオラ協奏曲と書いたが、しかし、ヴィオラが活躍するのは第3楽章までで、終楽章にはあまりその面影がない。終楽章は、「幻想交響曲」を思い起こさせるトゥッティの盛り上がりで幕を閉じる。


全体的にはベルリオーズらしいロマン派ムード満点の、危険で、濃い作品となっている。


◇  ◇  ◇


ミシェル・プラッソントゥールーズ・カピトール国立管

Symphonie Fantastique

Symphonie Fantastique

ミシェル・プラッソントゥールーズ・カピトール国立管による録音。こういうのをフランスの音というのだろうか。ひと言で言うと「カラフル」。若干速めのテンポ設定にもセンスが良さを感じる。私が買ったCDは、歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲と、序曲「ウェイヴァリー」とのカップリングだったが、現在は「幻想交響曲」とのカップリングで、2枚組みで販売されているようだ。これはお得。


チョン・ミュンフン&パリ・バスティーユ

ベルリオーズ : イタリアのハロルド

ベルリオーズ : イタリアのハロルド

チョン・ミュンフンとパリ・バスティーユ管による最後の録音。熱演タイプの指揮者らしく、猛獣使いが鞭でしつけるように、オーケストラを煽る。とてもすぐれた演奏なのになぜか現在廃盤中。署名を集めて復刻を望みたいほどだ。カップリングは歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲、序曲「ローマの謝肉祭」、序曲「海賊」の3曲。


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