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チェコ・スロヴァキア・ハンガリーの旅(1)


プラハブダペストは長いこと行きたかった都市だった。私はヨーロッパ旅行が好きで何回か行き、ドレスデンやウィーンにも行って十分に射程圏内だったが、チェコハンガリーの2つの都市には縁がなかった。


それが今回の転職にともなって、新しい仕事に入る前、11月の予定がポッカリ空いたために、ついに念願を叶えることができたのだった。


アムステルダム経由

プラハへはアムステルダム経由だった。スキポール空港での乗り継ぎ時間が3時間もあったので、せっかくなのでオランダのものを食べようと思って、空港のフードコートみたいなところのシーフードコーナーで食べた。

これは生のニシン(Haring)をそのまま挟んだサンドイッチ。オランダでは生ニシンを食べる。そのサンドイッチは結構ポピュラーな食べ物で、昔アムステルダムに行った時に、屋台で見かけたものだった。今回、初めて食べてみたが、味は「オエ〜こんなに生臭いのか」というのが第一印象。全部食べられるだろうかと思うくらい。塩が効いているのが救い。結局、最後の一口まで生臭いが、玉ねぎとピクルスの酸味が生魚の臭みをいくぶん消して食べきることができた。生ニシンを食べたらこんな味だろうなという先入観がそのまま当たる。鮒寿司とかが得意な人に良いかもしれないが、私に口には合わなかった。


■ヴィシェフラッド


チェコの国民的な作曲家であるスメタナ交響詩組曲「わが祖国」は、交響詩「ヴィシェフラッド」で始まる(そしてその後、第2曲に有名な「ヴルタヴァ(モルダウ)」が来る。日本語に訳すと「ヴィシェフラッド」だけで「高い城」を示すというわけで、ヴィシェフラッド城というと、間違った言い方になるのかなと思った。対岸の北にあるプラハ城と並んで、プラハの人、ひいてはチェコ人が心の拠りどころとするような、とても大事な城らしい。

「わが祖国」のなかの「ヴィシェフラッド」は、吟遊詩人が昔の国の栄光に満ちた歴史を歌う様子をハープを用いて表現した名曲で、飛行機に乗りながらこの曲をiPodで聴いていたら「せっかくプラハに行くのだから」と是が非でも行ったみたくなり、プラハ滞在の最終日に訪れた。

 
 

いまは往時をしのばせるものは少ないと言う。しかし眼下に広がるヴルタヴァ川、遠くに見える町並み、美しく整備された公園を見ながら「ヴィシェフラット」の旋律を思い出すと、チェコ人のメンタリティーに近づけるような気がする。

 

ここには墓地があって、スメタナ(右)、ドヴォルザーク(左)、アルフォンス・ミュシャチェコ語ではムハになるらしい)が眠っている。指揮者のラファエル・クーベリックの墓もあった。


■旧市街広場の周辺〜火薬塔・市民会館


旧市街広場。観光客が集まる場所。手前にあるのが旧市庁舎で、奥にティーン教会の塔が見える。私も一番最初に向かったのはここだった。プラハに行ったことのある人が、プラハは観光客が多くて騒がしかったと言っていたが、この季節はそれほどでもなかった。少なくもなく、かといって寂しいというほどでもなく、適度な感じだった。もしいつ旅行しようか迷っている人がいたら、少々寒いが11月は悪くないかもと言っておきたい。

田中充子氏による著作『プラハを歩く』(岩波新書)によると、ティーン教会の二つの尖塔はアダムとイブを象徴していて、太さが異なると書いてあった。なるほど、右のほうが太い。右がアダムか。

 
 
 

プラハは建築の博物館と言われるくらい、興味深い建築物に囲まれた街だ。それは単に古いというのではなく、さまざまな時代の建物が共存して美しい調和を生み出しているからだといわれる。例えば、左はアールヌーボー建築で、「プラハの春」のメイン会場にもなっているスメタナホールがある市民会館。右はキュビズム様式。ゴシック、バロック、ロマネスク、さらにはスターリン様式社会主義建築まで、プラハは建築物の宝庫だ。

旧市庁舎の天文時計。毎正時になると12使徒の人形が動きだす仕掛けが見られる。時間に近づいてくると人が集まってきて夏などは身動きが取れないくらいになるという。そして終わると、楽しみに待っていた観光客の口からは失笑が漏れる。このデモンストレーションは、「世界三大ガッカリ名所」に選ばれてもおかしくないくらい、あっけなく終わる。しかしとても微笑ましいものだ。


■カレル橋を渡る


カレル橋。石造りのがっしりとした橋で、思ったよりも幅は広くなかった。ただ単に対岸に行く手段というよりは、その上にいるだけで気分が高揚してくるようだった。この上に立った時の感動というか満ち足りた気分はなかなか言葉で言い表せない。歴史を経たありがたさがあるだけではなく、現在でも劇場的なオーラを持つ橋だと思った。

 

橋の上には絵描き・絵売りが目立つほか、土産物屋がたくさんあって、賑やかな雰囲気。

 

橋を渡り切るのに15分くらい。ヴルタヴァ川左岸にも美しい街並みが広がっていた。


■ストラホフ修道院

外見にそれほどの特徴はないが、内部には素晴らしい図書館がある。といっても中に入って本を手に取ったりできるわけではなく、近くから見学するだけだが、それでも、圧倒的な美しさに呑み込まれた。下の写真にあるのがその図書館で、それぞれ、「哲学の間」(写真左)、「神学の間」(写真右)というらしい。

 

 


プラハ

気温1〜5℃くらいという寒さのためか、観光都市としては拍子抜けするくらい人出が少なかった。プラハ城は、王宮、黄金の小路などが見どころだが、他にも美術館があったり、教会があったり、見るべきものがたくさんあって、一日ではとても見きれない。チケットが2日間有効というのもうなずける。朝から行って夕方までかかって一通りまわってきた。2つの美術館は2つあって、ルーベンスやヴェロネーゼの立派な絵があったり、チェコ絵画の見ごたえのあるコレクションがあって、たいへん満足する。

 

プラハ城名物の衛兵交代。

聖ヴィート大聖堂プラハを象徴する、巨大な建造物。遠くから見えたのはこの大聖堂の塔だった。城の敷地内にこんなに大きな教会があるなんて。あまりに大きくて、近くからではファインダーにおさまらない。

 

内部の装飾の一部に、ミュシャがデザインしたステンドグラスがある(右)。古い大聖堂になんとも現代的な感覚のあふれるデザインだ。

 

プラハ城は高台にあるので、プラハの美しい街並みを一望のもとに見渡すことができた。こういう眺めを見るために、わざわざ日本から10数時間もかけて、お金も多少かけて来たのだと思うと、なんだか感慨深かった。


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