上原彩子ピアノリサイタル
今日はピアニストの上原彩子さんのリサイタルを聴きに大阪のいずみホールに行ってきた。
上原彩子 ピアノリサイタル
2008年12月8日(月)19:00 いずみホール
出演者:上原彩子(p)
プログラム:
▽一柳 慧:ピアノスペース
▽グバイドゥリーナ:シャコンヌ
▽グリーグ:抒情小品集より、
第1集第1曲 アリエッタ
第8集第6曲 トロルドハウゲンの婚礼の日
第9集第4曲 山の夕べ
第9集第5曲 ゆりかごの歌
第10集第3曲 小妖精
第10集第6曲 過ぎ去りて
:ピアノ・ソナタホ短調(op.7)
▽プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第8番変ロ長調(op.84)
〜アンコール〜
▽リスト:愛の夢第3番
:超絶技巧練習曲より第5番「鬼火」
上原彩子さんのピアノを聴くのは何度目かになるが、いつも感じるのは、とにかく指がよく回るとか高度なテクニックは言うまでもなく、聴き手が手に汗を握り、唾を飲み込むのもためらうような、独特の緊張感を持つピアニストだということ。ピアノを演奏するという行為が、聴き手におもねるのではなくて、求道的で、あるいは何かに捧げるような神秘的な行為のように思える感じである。
このプログラムも最初から一般受けをそれほど意識しないような構成で、技術的にも高難度の曲ばかりで、聴衆の期待とは違う次元で課題をもって音楽を極めている印象がする。
今夜も最初からすごい集中力で、グリーグで情熱的な渾身の表現を見せたかと思うと、グバイドゥリーナでは、この難解な曲がきわめて合理的な成り立ってることを実感させる、スケールの大きな演奏を聴かせてくれた。プロコフィエフでは哀切とも慟哭ともとれる嘆きの表現で、素晴らしい演奏だった。
プロコフィエフのピアノソナタ第8番は30分にもなる大曲で、6番、7番とともに戦争ソナタの名称で呼ばれている。CDで聴くとなかなか理解できないのだが、今夜はこの曲の凄味がわかるような演奏だった。
客席は空席が目立ったが、そんなこととは無関係に、非常に高いレベルの演奏会だったと思う。