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2008年の振り返り・ベストコンサート


今年もいろいろあった1年だった。


サッカーのEURO2008でのスペインの攻撃的なサッカーの勝利に溜飲を下げた人も多かっただろう。北京オリンピックもあった。「ママでも金」は現実のものにならなかったが、口パク疑惑少女とCG花火が話題になった。その直前にはチベット動乱があった。


アメリカでは初の黒人大統領が当選し、日本では福田前首相が「あなたとは違うんです」という名言を残して去った。


2008年もサブプライムローン問題の深刻さがあまりに甚大で被害規模の見当すらつかない中、リーマン・ブラザーズが破たんし、世界は底の見えない同時不況に突入していった。日本経済も救いようがないくらい低迷し、日経平均株価は1年で42%も下落した。これは戦後最大の下げ幅だ。


激動の一年だったが、個人的にも今年は転職するなど、激動とまではいかないが、慌ただしい変化の中に身を置いた一年だった。


コンサートには去年ほど行くことができなかった。私はアイスランド交響楽団の公演を楽しみにしていたのだが、同国の金融危機によって来日中止になった。都合がつかずに行けなかったコンサートもあったし、行くのを忘れたコンサートもあった。


それでも大フィルの定期演奏会や、いくつかの来日公演には行くことができた。素晴らしい演奏会も多かった。今年のベストコンサートをランキング形式にするとこんな感じになる(来日オケで。大フィルの定期演奏会については年度末に書きたい)。

【2008年の私的ベストコンサート】


1.フィリップ・ヘレヴェッヘ×ロイヤル・フランダース・フィル(6月)

2.サイモン・ラトル×ベルリン・フィル(11月)

3.パーヴォ・ヤルヴィ×フランクフルト放送響×エレーヌ・グリモー(5月)

4.ジャナンドレア・ノセダ×BBCフィル×ヒラリー・ハーン(3月)

5.マリス・ヤンソンスロイヤル・コンセルトヘボウ(11月)

6.デ・ブルゴス×ドレスデン・フィル(6月)


※矢印⇒はその時のブログにリンク


1位は迷ったのだが、ヘレヴェッヘ&ロイヤル・フランダース・フィルを挙げたい。ピリオド奏法のモーツァルトなのに軽さがなくて、骨っぽくないというか、艶もあって素晴らしかった。アンコールで第3楽章と第4楽章を演奏したのも、まるでモーツァルトが生きていた頃の貴族の館かどこかでの演奏会のようで、コダワリを感じた。


2位のベルリン・フィルは内容的には1位でも良かったのだが、チケットがあまりにも高価だったので、このくらいやってくれて当然というわけで2位にした。ただ、才気あふれる音楽監督が振るベルリン・フィル、いわば世界最先端の演奏を、普段通っているコンサートホールで聴けたことは、最高の経験だった。あの音は絶対に忘れられない。


3位のパーヴォ・ヤルヴィ&hr響(フランクフルト放送響)は、パーヴォ・ヤルヴィのもうひとつの手兵のオケということで、期待にたがわぬ、素晴らしい演奏だった。パーヴォ・ヤルヴィのもとで鍛えられれば、数年後には、ベルリン・フィルミュンヘン・フィル、北ドイツ放送響、バイエルン放送響と並んで、ドイツ五大オケと称されてもおかしくないレベルのオーケストラだと思った。エレーヌ・グリモーの、女性とは思えないほど力強い「皇帝」もよかった。


4位はヒラリー・ハーンに尽きる。たった一人で全体の空気を変えてしまう天才の存在感だった。ヒラリー・ハーンが弾いたのはシベリウスのヴァイオリン協奏曲だったのだが、とても密度の濃い演奏で、何年分も聴き貯めをしたような感触だった。


5位のマリス・ヤンソンスとコンセルトヘボウは、よくヨーロッパ三大オーケストラと言われるのもわかるくらい、きわめて精度の高い演奏だった。現在のベルリン・フィルがいわばクラシック音楽を破壊することさえ厭わない、斬新で最新の演奏を求めるとすれば、コンセルトヘボウは、クラシック音楽の枠内での最高の演奏を求めるような印象を受けた。オーケストラの機能としては全く引けを取らないし、ヤンソンスは持前のセンスと才能と器用さでその強みをフルに生かした音楽作りをしているように感じられた。ただ、惜しむらくは京都コンサートホールの音響の癖と、私が座った席の悪さで、堪能しきれなかった。大阪のシンフォニーホールであれば1位だったかもしれない。


6位には、デ・ブルゴスが振ったドレスデン・フィルを挙げた。何といっても、分厚く、しかも品のある音色で、高価な骨董品のような値打ちのありそうな音だった。


◇  ◇  ◇


以上の通り、今年も良い演奏会を聴くことができた。もう間もなく2009年となるが、来年こそは平和な良い年であってほしい。



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