USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

2009/ラン・ランのピアノリサイタル/大阪


中国人ピアニスト、ラン・ランのリサイタルに行ってきた。今年になって初めて行ったコンサート。会場は大阪のザ・シンフォニーホールだった。


私が開演の20分くらい前に入場した時には空席が目立つかなと思ったのだが、5分前になると会場の9割ほどが埋まった。開演後の空席は両手で数えられるくらいで、かなり盛況の演奏会だった。

ラン・ラン ピアノリサイタル


2009年1月18日(日)14:00〜
ザ・シンフォニーホール


<プログラム>
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第13番(K.333)
シューマン幻想曲ハ長調
〜休憩〜
▽中国の作品より5曲(アルバム「ドラゴン・ソング」から):
   「平湖秋月(呂文成)」、「牧童短笛(賀緑汀)」、「春舞(孫以強)」、
   「彩云追月(任光)」、「翻身的日子(朱践耳)」
グラナドス:ピアノ組曲ゴイェスカス」から第1曲“愛のことば”
▽リスト:ワーグナートリスタンとイゾルデ」から“イゾルデの愛の死”
      :ハンガリー狂詩曲第6番
<アンコール>
ショパン:12の練習曲より「別れの曲」


http://www.asahi.co.jp/symphony/symphony2009/c20090118.jpg
(画像はシンフォニーホールのHPより)


演奏全体を通して言うと、超絶テクと大胆な解釈・ディフォルメを散りばめた素晴らしい演奏で、天然?生来のエンターテイナーぶりにさらに拍車がかかり、演奏している様子は見ているだけで楽しめるほどだった。


多彩なプログラムにも驚いた。私はピアノを弾けないので詳しいことはよくわからないが、弾き手からするとかなりしんどい(疲れる)プログラムだと思う。誰とは言わないが、某ピアニストのいつかの演奏会のプログラムは素人目に見ても楽そうな曲ばかりの手抜きのプログラムで、それと比べると、ラン・ランの向上心やサービス精神が際立つ。うれしい内容だ。


◇  ◇  ◇


モーツァルトはラン・ランの前回の来日公演のときに(西宮の兵庫県立芸術文化センターで)K330を聴いたが、今回はそれよりも大規模な作品で、扱いづらい部分もある作品だと思うが、素晴らしい演奏だった。とても立体的な演奏で、楽しい部分はステップを踏むようにトコトン楽しく、悲しい部分はグッと音量を落とす。しかも品位を崩さない絶妙のレベルでコントロールしているように感じられた。


シューマンの幻想曲はかなりの大曲だが、曲に負けず、ラン・ランは完成されたピアニストとして力量を見せ付けた。第2楽章終盤での鬼気迫るような迫力は見事だったし(2楽章終了直後、曲途中にもかかわらずフライング拍手が起きたほどだった)、第3楽章での陰りのある表現も聴きごたえ抜群だった。個人的に今日一番の演奏だったと思う。


中国の作品は、自国の作品を紹介しようとする使命感が感じられたものの、今日のプログラムの中ではやや浮いていた。なじみの少ない中国の作品を最高の演奏で聴けたことはよかった。


グラナドスもよかった。こういう曲はぴったりだと思う。よくフィットしていたし、盛り上がりもかなりのものだった。


リスト。「トリスタン〜」はもともとのオーケストラ曲に負けないほどの雄弁さで、オペラの場面が思い浮かぶようだった。ハンガリー舞曲第6番では、圧倒的なテクニックを見せ付けられ、唖然とするばかりだった。これだけの早弾きなのに崩れないし、音の粒の一つ一つが揃っていて、キラキラ光る音の粒は、まるで高級炊飯器で上手く炊けたブランド米の米粒のようだった。圧巻の演奏だった。


アンコールではさらにショパンの「別れの曲」まで取り上げてくれて、非常に濃密なコンサートだった。


人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 クラシックブログへにほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へにほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ