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大フィル定期演奏会・第424回(1日目)


大フィルの1月の定期演奏会に行ってきた。いつもは2日目に行くのだが、今月のその日は都合が悪くて、1日目に振り替えてもらったのだった。


大フィルの定期演奏会は2日間あるので、(定期会員の場合)このあたりを融通してもらえる。もちろん、完売になった公演は振り替えは不可能なのだが、空きのある公演では、事前に電話で確認すれば、振り替えてもらうことが可能。


第424回定期演奏会の今夜は、フィンランドの俊英、ピエタリ・インキネンが振るシベリウスということで、楽しみにしていたプログラムだった。

大阪フィルハーモニー交響楽団
第424回定期演奏会

2009年1月22日(木)、23日(金)
18:00開場 19:00開演

ザ・シンフォニーホール

指揮:ピエタリ・インキネン
曲目:
シベリウス/付随音楽「クオレマ(死)」より「鶴のいる情景」(作品44の2)
▽ラウタヴァーラ/交響曲第8番「旅」〈日本初演
シベリウス交響曲第1番ホ短調(作品39)


http://www.osaka-phil.com/dbimages/20090122.jpg


シベリウスの1曲目、「鶴のいる情景」の演奏からは、やや未完成な感じを受けたが、短い曲なので、まあこのくらいかなという印象だった。とはいえ、悪いわけではなく、大味でもなかったが、指揮者の意図がいまひとつ浸透していないのか、ソロ以外にはそれほど面白いと思わなかった。あるいは、そんな曲なのかもしれない。


この曲の指揮では棒を持たない指揮で、小刻みに指を動かすなど、かなり細かいことをやっていた。


ラウタヴァーラの交響曲第8番は日本初演。この曲から、指揮棒を携えての指揮だった。私はラウタヴァーラの曲自体に全然なじみがなくて、聴くのもはじめてだったが、睡魔も襲ってこなかったし、しっかり聴き通すことができた。第4楽章などは、全てのメンバーがかなり集中していて、かなり純度の高い演奏だと思った。曲から受けた印象は、シェーンベルクショスタコーヴィチシベリウス÷フィンランドという感じだった。記念すべき日本初演ということになったわけだが、終演後の表情から、指揮者自身は満足しているように見えた。


シベリウスの1番は、1年以上前に翌年の定期公演のプログラムを見たときには、「シベリウスらしさは4番以降から出てくるのに、なぜ4・5・6・7番じゃなくて1番なのか?」と思い、すこし落胆したのだが、今夜の演奏は良かった。その時のげんなりした気分を忘れさせてくれる演奏だった。


ひと言で言うなら、「大フィルらしさを損なわない、スケールの大きな、荒々しいシベリウス」だった。


シベリウス交響曲はごまかしがきかない(と思う)ので、演奏者は大変だ。失敗が目立つし、勢いがあれば良いというわけにもいかない。さらに、客演ではリハーサルの時間も限られているだろうから、シベリウスに合う音に作りかえることもできない。


そんなこともあってのこのアプローチだったのではないだろうか。自由にやらせるところと、枠にはめる部分がそれぞれあって、センスを感じる音楽作りだった。枠にはめる部分は、フィンランド人指揮者ということでお国モノを扱うプライドあるいは経験からか、「地に足が着いた」とでも言うべきか、しっかりしたシベリウスが響いていた。


ただ、演奏の傷は多少あって、第1楽章の冒頭など第一ヴァイオリンの音が小さくてあれあれ?大丈夫かと思ったし、同じく序盤で金管が強すぎてバランスが悪かったが、このあたりはすぐに持ち直した。また、さらに言うと第3楽章などでは木管のスピード感がもっと欲しいところだった。


まとめて言うと全体的には、長原幸太コンサートマスターの艶のある音色が引っ張る、弦のよさを最大に生かした、聴き応えのあるシベリウスだった。第2楽章は絶品だったし、第3楽章もテンポを別にするときわめて立体的で色彩が豊かだった。最終楽章は、こんなに合理的なシベリウスがあったのだと気付かされる、説得力のある演奏だった。


シベリウスの1番のよさを再確認し、インキネンと大フィルによるフィンランド・プログラムを堪能した一夜だった。


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