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ドゥダメルのチャイコフスキー5番


家に着くのが待ち遠しい。そんなに楽しみな気持ちでCDを買ったのも久しぶりだった。


チャイコフスキー:交響曲第5番

チャイコフスキー:交響曲第5番


そのCDはこれ。グスターボ・ドゥダメルが振るチャイコフスキー交響曲第5番だ。グスターボ・ドゥダメルは、ベートーヴェンの5&7番で華々しくメジャーデビューし、次にマーラーの5番の録音を経て、それに続くのがこの、チャイコフスキーの5番となった。偶然なのか、それとも深い意味があるのか、「5番」という数字が並んでいる。


オーケストラは指揮者が共にキャリアを重ねた、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ


一昨年前の今頃は、「ドゥダメル?誰?」という感じだったが、日本とヨーロッパを席巻し、一躍、現代のクラシック音楽シーンの中心人物の一人となっている指揮者の新譜ということで、帰宅してから「恭しく(有り難く)」聴いてみた。


◇  ◇  ◇


激しいスポーツ後のポカリスエットのような清涼感のある、瑞々しい演奏だった。


さすが。これが20代の指揮者によるものとは。オーケストラは推進力に溢れ、しかも熱っぽさもある。この高揚感はアマチュアオーケストラの気分のようで、一度の演奏にかける意気込みが感じられる。負ければ明日のないトーナメント戦のようでもある。


指揮者のオーケストラの統率は抜群で、このコンビの信頼関係がよくわかる。金管陣にやや不安定な個所も見られるが、大きな破綻はなく、全体的には極めてスピード感が豊かで、スタイリッシュな演奏に仕上がっている。スタイリッシュな部分はカラヤンとよく似ているが音をもう少し、現代風に薄味にしたような印象を受けた。


なかなかレベルの高いチャイコフスキーの5番だ。


では、ムラヴィンスキーバーンスタインなどによる過去の名盤に肩を並べたかというと、そこまでのレベルには達していないのも事実で、若干の物足りなさが残った。ムラヴィンスキー盤はもっとキレていたし、バーンスタインの音楽作りはもっとドロドロしていて、「精神性」というか「神秘性」というか「魂」というか、彼らの音楽には音楽以上の「何か」が感じられた。


ドゥダメルによるチャイコフスキーの5番は、優れた演奏だとは思ったが、同時に、もっとできたはずだという勿体なさも感じられた。期待が大きすぎたからだろうか。


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