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大植英次&ミネソタ・オーケストラの『春の祭典』


私は目下、8日連続勤務の最中で、連日バタバタと慌ただしく、気がついたら4月になっていた。


昔、「忙しい忙しいと言っている人は結局のところ独りよがりで本当は忙しくない」という言葉を聞いたことがあるので、それ以来、できるだけ「忙しい」とは言わないように心がけている。哲学的に深い意味はない一言なのかもしれないが、意外に印象に残っている言葉である。


それはそうと、春といえば桜。花見。まだまだ肌寒いので、散るまでには間に合いそうだ。とはいっても、あと数日は「ゆっくり桜を見ながら一杯!」なんてことは無理なので、近所の桜並木を車で走るくらいで済ませそうだ。


クラシック音楽のなかで「春」に関係する楽曲は結構すぐに思い出す事が出来る。


最もポピュラーなのは、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集『四季』の「春」だろう。シューマン交響曲は第1番が「春」の標題を持つ。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタにも「春」と呼ばれる曲がある。


そしてストラヴィンスキーの『春の祭典』。


ストラヴィンスキー管弦楽曲、『春の祭典』という邦題はもっとも不似合いなタイトルだと思う。「祭典」というと、プラスイメージのある言葉のように聞こえるし、ポジティブなものを連想してしまう。しかし『春の祭典』は、内容的にも華々しいものではなくて、野蛮でおどろおどろしいものなので、『春の祭典』というタイトルでもう定着しているとはいえ、いつも違和感を感じている。むしろ直訳のほうが却ってハマっていて、『春の生贄』とか『春の儀式』とかが近いかもしれない。うーん、何か適当なタイトルはないか。ここは思い切って、『春の聖餐』なんていうのはどうだろうか。


Firebird Suite / Song of the Nightingale

Firebird Suite / Song of the Nightingale


このCDは、現在大阪フィル(以下、大フィル)の音楽監督を務める大植英次さんと、以前に音楽監督を務めていたアメリカのミネソタ管弦楽団による録音で、『春の祭典』のほかに、組曲火の鳥』、交響詩ナイチンゲールの歌』が収録されている。


冒頭のファゴットのソロに続いて、「ザッザッザッザッザッザッ」とあの独特のリズムが聴こえてくると、ここがもう日本ではなくて、熱帯のジャングルに覆われた、どこかの未開の地であるような錯覚に陥る。暴力と汗と原色の世界。臨場感たっぷりの質の高い録音である。


最近の大フィルを振っての演奏会では、まるでバーンスタインのように情感たっぷりで巨匠風にゆったりとした演奏が多いが、この頃はずいぶんと瑞々しくて、パンチが利いている。ミネソタ管との演奏は若々しく、煌びやかで、これから上昇気流に乗っていく指揮者とオーケストラの当時の勢いを感じさせるものになっている。


全体的に金管が安定しているし、木簡も鮮やか。打楽器も素晴らしいタイミングを持っている。いかにも、華やかで機能的なアメリカのオーケストラと、センスがあって上手い指揮者という感じだ。


大植さんは今期の大フィルの定期演奏会で、この4月にストラヴィンスキーの『火の鳥』を振るので、このミネソタ管との録音と比べてみたい。


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