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大フィル定期・大植×バーンスタイン


昨夜は大フィルの定期演奏会に行ってきた。今シーズン最初の演奏会。2009/2010シーズンのオープニングを飾るのは大植英次音楽監督


私事ながら、今シーズンは、定期会員になるのをやめた。転職して1年目ということで行ける日と行けない日の予想がつかないのと、何年か続けて定期会員になってみたものの定期演奏会に行くのがルーチン化してしまっていた部分もあって、好きなクラシック音楽を新鮮な気持ちで楽しめない自分をうすうす感じていたためだ。


だから今シーズンは、定期会員にならずに、興味があって、なおかつ都合がつく演奏会だけに絞ることにした。また、その方が経済的だ。と言いつつ、毎回通ってしまうことになるかもしれないが。

大阪フィルハーモニー交響楽団
第427回定期演奏会


2009年4月16日(木)、17日(金)
19:00開演(18:00開場) ザ・シンフォニーホール


指揮:大植英次
曲目:
ブラームス交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
バーンスタイン組曲「キャンディード」
ストラヴィンスキー/バレエ組曲火の鳥」(1919年版)


http://www.osaka-phil.com/dbimages/20090416.jpg
(↑画像は大フィルのHPより)


私は昨シーズンの後期の定期演奏会マーラーの第5番の時)に行けなかったので、大植さんを久しぶりに見たのだが、ダイエットしたのか?ずいぶん痩せたなあと思った。激ヤセといってよいレベルで、ダイエット本を出せば話題になるかもしれない。

動きが俊敏になった分、以前よりもキレが出たように感じた。反面、岩が転がるような勢いや重みは減ったように感じた。あとは、聴くたびに実感するのだが、大植さんの音楽作りからはバーンスタインのような執拗さというか、コダワリやしつこさみたいなものがどんどん出てきているように思う。やっぱり師匠の影響は大きかったと感じる今日この頃だ。


前半のブラームスの第3番はまるでマーラーの音楽のようにドロドロしたブラームスだった。ベートーヴェンに続くブラームスではなくて、ロマン派の扉を大きく開くブラームスという感じだった。形式よりは内容。収まりきれないものを収めようとした骨組。犬小屋よりも犬が大きい。CDラックの収納可能枚数以上にCDが増えていく。…。ブラームス交響曲の中ではどちらかといえば室内楽的でちいさなまとまりをみせる第3番をこんな風に仕上げるとは!と思った。濃厚でこってりとしたブラームスで、かといって昔ながらの大柄な演奏というのとも大きく違っていて、個性的でなかなか聴きごたえのあるブラームスだった。


オーケストラの配置は向かって左から第一ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、右に第二ヴァイオリンという対向配置。コントラバスは奥に一列に並ぶという、ベートーヴェンチクルスの時などでもおなじみの配置だった。この配置の時に見られがちな、笛吹けど踊らずというか、ホールが全然鳴っていない、スカスカした部分は少なくなって、かなり熟練してきたと感じた。第3楽章での陰影に満ちた表現などはたいへん素晴らしかった。


バーンスタインのキャンディードは、まるで劇団四季のミュージカルやあるいはハリウッド映画のような、極上のエンターテイメントのような、ゴージャスで鮮やかな演奏だった。大植さんの指揮もリラックスしていて、楽しんで指揮をしているように見えた。これは大切りかと思わせるような、ケレンミたっぷりの快演だった。


ストラヴィンスキー火の鳥は、大フィルの合奏能力の高さを見せつけたうえに、個々のパートのソロも光っていた。ホルンの不安定さはよく言われるが、昨夜は危なげがなかった。健闘していたと思う。木管金管・打楽器も高レベルで良い仕事をした。弦は言うことなし。大植&大フィルの演奏には、やっぱりこういうエネルギッシュな熱演がふさわしいと思った。スカッとした気持で家に帰った人も多かっただろう。


さて、昨夜の演奏会について全体的に感じたことを言うなら、ブラームスでは大植さんがやりたいようにやったという感じで、バーンスタインストラヴィンスキーでは大フィルのスタイルに合わせて音を作ったという印象だった。古典曲では解釈が前面に出る。近現代の作品ではオーソドックスに振る。きっと賛否両論はあるだろうが、前者の方の進路をもっと見てみたいという気持ちをもった。


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