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ラファウ・ブレハッチのピアノ協奏曲


ラファウ・ブレハッチのピアノの強みは、虚飾や衒いや気負いが一切ない、「普通さ」だと思う。野球に例えると「ストレートど真ん中」で、わかっているのに誰も打てない感じ。孤高のオーソドックスだ。


若いのに、テクニックを誇示しようとかという小さな欲が全然見えないのがすごいところで、無欲からくる清潔さ、上品さ、端正さがある。


フォルテでも濁らないし、早弾きでも粒が揃っているし、燻し銀のような品の良い音色を持っている。スタイルは極めてオーソドックスで、特段インパクトを受けるところは少ないのだが、普通なのに深みを感じる。演奏会場の空気を変えてしまう。単にうまいピアニストはいくらでもいるが、聴いた後にこんなに幸せな気分になるピアニストはほかにいない。聴き手からする、もう注文の付けようのないピアニストだと思う。


と前段が長くなってしまったが、ショパンイヤーの今年、満を持して発売されたのがこのCDである。


ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番


ブレハッチのピアノはやはりブレハッチのピアノで、デビュー以来、全く変わっていない。このピアニストの出現を以って、「機械のように正確」だとか、「テクニックはないが情感がある」などと様々なピアニストを評して満足していた時代は完全に過去のものになった。「ブレハッチ以前」と「ブレハッチ以後」で時代を分けたら、他のピアニストに怒られるだろうか。


伴奏を務めるコンセルトヘボウの演奏もかなり雰囲気がある。常任指揮者のマリス・ヤンソンスが指揮すると、「最新鋭オーケストラによる現代的な音色」となるのだが、このCDのイェジーセムコフの指揮のもとでは、どうしてか往年の「アンティークのように深みのある音色」が残っている。同じオーケストラなのに指揮者でこうも変わるのかと驚いた。またピアニストと指揮者が同じポーランド人ということも関係しているのかわからないが、独奏と伴奏のコンビネーションも冴えている。


ショパンのピアノ協奏曲の録音としては、同じポーランド人のツィマーマンが弾き振りした(どころかこの2曲を演奏するだけのためにオーケストラを結成した)演奏や、アルゲリッチデュトワによる演奏など、名盤ぞろいだが、それらに並ぶ演奏が出現した。


ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番


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