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世界のオーケストラ・ランキング・トップ20


何年か前に英グラモフォン誌に、世界のトップ20オーケストラのランキングが掲載されて話題になった。ランキングは以下の通りだ。

1. ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2. ベルリン・フィル
3. ウィーン・フィル 4. ロンドン交響楽団 5. シカゴ交響楽団
6. バイエルン放送交響楽団 7. クリーブランド管弦楽団 8. ロサンゼルス・フィル
9. ブダペスト祝祭管弦楽団  10. シュターツカペレ・ドレスデン
11. ボストン交響楽団  12. ニューヨーク・フィルハーモニック
13. サンフランシスコ響  14. マリインスキー歌劇場管弦楽団
15. ロシア・ナショナル管弦楽団  16. サンクトペテルブルグ・フィル
17. ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 18. メトロポリタン歌劇場管弦楽団
19. サイトウキネン・オーケストラ 20. チェコ交響楽団


しかしこのランキングはどういう基準でそうなったのか理解できない部分も多くて、例えばカナダのオーケストラも入っていないし、フランス、イタリア、北欧のオーケストラも無視されている。そうかと思うと常設オーケストラでもないサイトウキネンが選ばれていたりする。当然、ネット上でもこのランキングをめぐって論争が繰り広げられた。


◇  ◇  ◇


そこで、今夜は、私版オーケストラランキングを作成してみたいと思います(なぜいま?いつもながら思いつきの企画ですね)。

【ルール】
・さまざまな大陸・地方・国から選ぶ。
・歴史と現在の両方を考慮して選ぶ。


1 ベルリン・フィル(芸術監督・首席指揮者:サイモン・ラトル
2 ウィーン・フィル音楽監督:なし)
3 シカゴ交響楽団音楽監督リッカルド・ムーティ

輝くトップ3!別の言い方をすれば、来日公演でチケットがバカ高いビッグ3。下手をすると家賃が払えるくらい高価。ベルリン・フィルは色々言われても常に時代の最先端を走ってきた。ウィーン・フィルには、クラシック音楽の中心に居座り続けた歴史がある。シカゴ響はアメリカ「最強」(「最高」でなく「最強」)のオーケストラで、ビッグ5(シカゴ、ニューヨーク、フィラデルフィアクリーブランド、ボストン)の中では歴史、演奏能力、話題性で最高位。「京都五山の別格上位に南禅寺があるような感じ」と例えてみたら、よけいわかりにくいだろうか。


4 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(常任指揮者:マリス・ヤンソンス

来日公演を聴く限り、ロイヤル・コンセルトヘボウがそこまで高く評価される理由が分からない。もちろん演奏レベルは信じられないほど高いし、指揮者のマリス・ヤンソンスも熱い演奏を聴かせる。ヤンソンスは「やたら仕事ができる」ビジネスマンで、エンターテイナーとしても一流である。しかしグラモフォン誌がそこまでベタ褒めするほどすごくて、ベルリン・フィルウィーン・フィルを超えているかというと、全然そんなことはない。すごいことはすごいが、魂や心を奪われるほどではない。私は一度、京都で聴いただけではあるが、そこまですごかったかと問われるとあまり覚えていない(京都コンサートホールの音響の悪さにも問題がある)。そこで推論、アウェーでは本領を発揮していない。きっと本拠地での演奏がすごいのだろう。


5 シュターツカペレ・ドレスデン音楽監督ファビオ・ルイージ

シュターツカペレ・ドレスデンは私が最も好きなオーケストラだ。このオーケストラの音は他とは全然違う。昔からそうだったが、いまでもそうだ。上質な絹のようになめらかな弦の音色はほかのオーケストラでは聴けない音だ。さらに、現音楽監督ファビオ・ルイージが都会的なセンスを持ちこんで、今後さらに期待できると楽しみにしていたが、すでに降板が予定されている(次期音楽監督クリスティアンティーレマン)。


6 クリーブランド管弦楽団音楽監督:フランツ・ウェルザー=メスト

ジョージ・セルが鍛えまくった名門オーケストラ。驚愕のアンサンブルと透明感の高い音色を持つ。現在は「オーストリアの貴公子」、ウェルザー=メスト音楽監督を務める。


7 バイエルン放送交響楽団(首席指揮者:マリス・ヤンソンス

バイエルン放送交響楽団。最高レベルの合奏能力を持つオーケストラというイメージがある。来日公演のチケットは高価だが、演奏レベルは非常に高いので、高いお金を払ったぶん満足度の高い演奏を聴かせてくれる。反面、このオーケストラならでは、という印象は薄いように思う。コンセルトヘボウのトップでもあるヤンソンスが首席指揮者を務める。


8 ロンドン交響楽団(首席指揮者:ワレリー・ゲルギエフ

あらゆる国のあらゆる作曲家のあらゆる曲を器用にこなす、質実剛健なオーケストラ。世界一忙しい指揮者・ゲルギエフが精力的に活動している。


9 チューリヒ・トーンハレ管弦楽団音楽監督デイヴィッド・ジンマン

昨今の活躍からみて、ランキングには当然入ってくる。期待されていたマラソン選手が、期待通りに上位集団を走っているというイメージ。


10 国立パリ管弦楽団音楽監督パーヴォ・ヤルヴィ

フランスの花の都・パリのオーケストラがランキングに入らないはずはない。やる気に左右されるが、来日ツアーの2日目くらいや最終日など、気分が乗っている時のパフォーマンスは圧倒的らしい。逆に言うと、地方公演などは手を抜きまくるのか!?目の前がバラ色になるような色彩感が特色。パーヴォ・ヤルヴィ音楽監督になってさらに楽しみなオーケストラになった。


11 フィラデルフィア管弦楽団(首席指揮者:シャルル・デュトワ

前任のエッシェンバッハと来日して『悲愴』をよく演奏していたというイメージがある。また関西では、大阪を飛ばして京都で演奏会をするというイメージがある。


12 サンクトペテルブルク・フィル(音楽監督:ユーリ・テミルカーノフ

レニングラード・フィルだったころのサイボーグのような強烈な演奏から変わって、強靭でありながら温かみのある音を出すという印象がある。ソ連は崩壊したがオーケストラは死なず。地力・底力がある。


13 ミュンヘン・フィル(首席指揮者:クリスティアンティーレマン

細かく、小さくなっていく演奏のトレンドとは正反対に、重厚長大路線を走っていた。こってりとした演奏は癖になる人続出だった。怖そうなティーレマンが鍛えまくっていて、今後が楽しみなオーケストラだったが、両者の関係は短期間で終わることになる。


14 モントリオール交響楽団音楽監督ケント・ナガノ

前任のデュトワが振ると、フランスのオーケストラ以上にフランスっぽい音になった。ドビュッシーなどは当時世界最高峰の演奏だった。


15 ブダペスト祝祭管弦楽団音楽監督:イヴァン・フィッシャー)

旧東欧のオーケストラからのトップとして挙げたい。いかにもやり手という感じのイヴァン・フィッシャーが創設したオーケストラ。すっきりとした響き、スマートな音楽づくりが特徴。私はこのオーケストラが結構好きである。今年来日する(チケットを買うつもりだったが、当日予定が入っていて行けないことが判明。断念)。


16 ラハティ交響楽団音楽監督ユッカ=ペッカ・サラステ

フィンランドの小さな町の世界的オーケストラ。お国もののシベリウスは世界最高峰で、ベルリン・フィルウィーン・フィルとコンセルトヘボウとロンドン響が束になって挑んでも敵わない。前音楽監督・前首席指揮者のオスモ・ヴァンスカが振ったシベリウス交響曲全集は、世界中のシベリウスファンの宝物である。


17 チェコ・フィル(首席指揮者:エアリフ・インバル)

ひとこと。「美しい街の歴史あるオーケストラ」。今では信じられないが、ウィーン・フィルにも負けない音を持っていた歴史があるらしい。ラファエル・クーベリックやパブロ・フォン・マタチッチなど世界的な指揮者とのコンビで何枚も名盤を残している。いまでもドヴォルザークスメタナはこのオーケストラで聴きたい。


18 ニューヨーク・フィルハーモニック音楽監督:アラン・ギルバート)


バーンスタイン、途中いろいろあって、今アラン・ギルバート。一時期レベルの低下が言われたが、今後また持ち直してくるだろう。往年の豪快な演奏とは打って変わって、繊細で緻密な演奏をするようになった。


19 ボストン交響楽団音楽監督ジェイムズ・レヴァイン

日本が世界の誇るマエストロ・小澤征爾音楽監督を務めていたオーケストラ。残念ながら私はそのくらいしか知らない。


20 イスラエル・フィル(終身音楽監督ズビン・メータ

バーンスタインとの共演で素晴らしい録音をいくつも残している。玄人筋から全然評価されていないズビン・メータを終身音楽監督に選んでいるあたりから(「しかも練習にあまり厳しくなくて楽だから彼を選んだ」などいう説もある)、実際のレベルはどうなのか怪しいが、才能のある奏者が揃っているため、演奏レベルは高い。チケットも高い。オーケストラの力が発揮される曲を演奏するプログラムだったりしたら、コンサートに行っても損はないだろう。


以上。お粗末さまでした〜。


あと、個人的には大フィルを入れてみたかった。前音楽監督だった故・朝比奈隆氏が振ったベートーヴェンブルックナーは録音で聴く限りでも、ドイツのオーケストラ以上に立派で重厚だった。クラシック音楽の世界では辺境に位置する日本で、それも首都でなく関西にこれほどの水準の音楽環境があったことが驚きである。


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