USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

交響曲第4番『滅ぼし難いもの(不滅)』の定番名盤


この曲を初めて聴いたときのことはよく覚えている。それは、クラシック音楽を聴き始めた頃。モーツァルトベートーヴェンチャイコフスキーなどのメジャーな作曲家の作品しか知らなかった頃のことだった。たまたま聴いていたFM放送で突然飛び込んできたのが、この曲、ニールセンの交響曲第4番『滅ぼし難いもの(不滅)』だった。


これまで聴いたことがないような雰囲気の曲。例えようのない緊張感を湛えた曲。神秘的な部分もある。唸った。


曲は序奏なしで始まる。かなり激しい。スタートからいきなり全開。私はこの曲を初めて聴いたとき、全然関係ないのだが、ロシアのバルチック艦隊が北海の荒波を航海する映像を連想した。これはいつの時代のものかは分からないが、きっと戦争にインスパイアされた作品だと感じた。緊迫した状況が伝わってきて、寒くて、厳しい(いかめしい)曲である。


牧歌的で美しい第2楽章。極寒の冬のような、凍てつく第3楽章。そして第4楽章。高揚する音楽。ティンパニの壮絶な打ち合い。フィナーレは勝利というよりも、すべての罪が許されたかのようで、不滅の魂の賛歌に聴こえる。


「こ、これは!なんて迫力のある曲なんだ。誰の、何という曲だろう?」チャイコフスキーのようでもあるし、ラフマニノフのようでもあるし、シベリウスみたいなところもある。想像もつかなかった。私は曲を最後まで聴き通し、そのFMの番組最後の曲紹介をメモして、そのままCDショップに直行してCDを購入したのだった。


ニールセン:交響曲全集

ニールセン:交響曲全集


その時に購入したCDが、ヘルベルト・ブロムシュテットがサンフランシスコ響を振って録音した交響曲全集で、いまだに愛聴している。重量級の交響曲なのに、響きがゴチャかず、主題も見失われず、最後まで設計図通りに構築される。このCDはとてもクリアな音質で録音されているので、ブロムシュテットの透明感のある音楽づくりが堪能できる。


◇  ◇  ◇


カール・ニールセンデンマークの作曲家で、シベリウスと同じ年に生まれた。交響曲第4番『滅ぼし難いもの(不滅)』は、第一次大戦中に書かれた作品で、いかなる戦争によっても滅ぼされない小国デンマークの魂を描いた作品だといわれる。困難と闘い、最後に勝つという流れは、ベートーヴェン交響曲第5番や、チャイコフスキー交響曲第5番と同じ。聴いたときの印象は、ショスタコーヴィチ交響曲第5番にも似ている。しかし、そのどれとも違う。


ニールセンはクラシック音楽ファン以外にはそれほど知られていない作曲家だが、4番は名曲なので録音の数は多い。ブロムシュテット盤以外の名盤として、以下の2つを紹介したい。


ユッカ=ペッカ・サラステ

ニールセン:交響曲第4&5番

ニールセン:交響曲第4&5番

Nielsen: Symphonies No.3 & 4

Nielsen: Symphonies No.3 & 4

ジャケ買いしてもおかしくない、美しいデザインのCD。演奏はブロムシュテット盤ほどクリアで現代的ではなく、どちらかといえば土がついていそうな素朴な印象となっている。過度に洗練されていない点が魅力。私が購入した、カップリングに5番が収録されたCDは現在絶版だが、3番とのカップリングの輸入盤はまだ購入することができる。


■オスモ・ヴァンスカ盤

ニールセン:交響曲第4番「不滅」 交響曲第3番「ひろがり」 [Import]

ニールセン:交響曲第4番「不滅」 交響曲第3番「ひろがり」 [Import]

ラハティ響を振って録音したシベリウスがかなり良い音で入っていたので、販売元が同じレーベル・BISだったこともあって高音質を期待したのだが、音質はそれほどではなかった。ただし、イギリスのオーケストラは北欧モノも得意である。地味ではあるが緻密な演奏となっている。


人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 クラシックブログへにほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へにほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ