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ヴァイオリン協奏曲第1番の名盤


ベートーヴェンメンデルスゾーンブラームスのヴァイオリン協奏曲を集めて、「3大ヴァイオリン協奏曲」と言われるが、そのうちのどれかをブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番に代えてもいいのではないかと思う。それくらいの名曲で、クラシック音楽ファンなら誰でも知っている大変ポピュラーな曲なのに、それ以外の人にとっては「ブルッフ?誰?」という程度の知名度の低さが災いしている。


この曲では、名優の語りのように端正で美しい旋律が全曲にわたって展開される。技巧的に難しい名人芸も披露される。どこか翳りのある旋律は、ドイツの森のように(行ったことはない)深遠だ。


ブルッフは他にも交響曲室内楽曲、声楽曲などさまざまなジャンルの曲を残したが、もっともポピュラーなのがこのヴァイオリン協奏曲第1番で、あるいは逆に、この曲があるからブルッフという作曲家が知られているといっても言い過ぎでないかもしれない。ブルッフは続いて2曲のヴァイオリン協奏曲を書いたが、1番ほどポピュラーではない。


以下に愛聴しているCDを紹介したい。


ハイフェッツ

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

伝説のヴァイオリニストにして、いまだにこの人以上に弾ける人がいないのではないかという孤高の存在。ここまで巧く弾かれたら笑うしかない。しかも力強い。永遠のスタンダードにしてベスト。さらに音質が良いので、これ一枚だけしか持っていなかったとしても何の問題もなく、新しい演奏家の新譜を買う必要がないんじゃないかとさえ思ってしまう。


■チョン・キョンファ旧盤

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、スコットランド幻想曲

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、スコットランド幻想曲

まるで命を削るかのような名演。これ以上ないくらいの集中力で臨んでいる。単なる演奏を越えたものがあって、有無を言わせない。人を動かす力を持っている。


■チョン・キョンファ新盤

旧盤と比べると安定感が増した代わりに、寿命を縮めるような緊張感はなくなった。しかしそれでも迫力はじゅうぶん。天才的だったのは過去の方だが、毎回毎回、生きるか死ぬかのスレスレの演奏をしていたら身が持たないし、長く演奏していくことはできない。成熟したという感じ。テンシュテットが振るオーケストラもかなり立派。カップリングは「3大ヴァイオリン協奏曲」のひとつ、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲だ。


フランク・ペーター・ツィンマーマン

チャイコフスキー、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲

ドイツが生んだ現役・世界的ヴァイオリニストによる安定感のある演奏。大人の演奏。チョン・キョンファみたいに霊感に満ちた演奏とは言えないが、単純にテクニックではツィンマーマンの方が上かもしれないし、日常的に聴けるのはこういう演奏の方だ。実演に接したことはないが、きっと演奏会はいつも高いレベルで安定しているのではないかと思う。併録のチャイコフスキーもまたすごい。


ジャニーヌ・ヤンセン

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

オーケストラはシャイーが振るライプツィヒ・ゲヴァントハウス。伝統ある重厚なサウンドをイメージしていたら案外普通のオーケストラの音で、モダンな響きだった。ヤンセンのヴァイオリンは、こういう演奏は若いときにしかできないと思わせる、躍動感のある演奏。若さが全面的に良い方向に出ている。


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