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和歌山ラーメンの旅・2010年秋


今週の日曜日、義父母の家に子供を預けることができたので、和歌山まで行ってきた。目的は一つ、「なんか和歌山ラーメンが食べたい」だった。私は関西に住んで長いが、和歌山を訪れるのは2度目。思えば前に行った時も和歌山ラーメンがテーマだった(→その時のブログはこちら)。


義父母の家からは阪和道の堺インターが近く、堺インターから和歌山インターを降りて和歌山市の中心部に行くのに大体1時間弱。意外に近い。天気予報は雨。屋外での観光には不向き。ラーメン屋は屋内なのでいける。


家を出るときに、この時間と距離だったら、行きと帰りでシューマン交響曲全集を聴き終えるくらいだろうと見当をつけて、アーノンクール指揮・ヨーロッパ室内管演奏のシューマン交響曲全集のCDを持って出た。


シューマン:交響曲全集

シューマン:交響曲全集


そして、子供を預け、いよいよ和歌山に向かう。雨は一向にやむ気配がない。


高速を降りる頃、2枚組CDのうちの1枚目の1番と2番を聴き終わる。2番はいままでそれほど聴く機会がなかったが、あらためて聴いてみたら、なかなか味のある曲だなあと思った。シューマンは一般的にオーケストレーションがうまくないと言われていて、ブラームスやリストやドビュッシーと比べると、響きはずっしりとしていて、洗練されていなくて、どちらかと言えば野暮ったく、全体的に鈍い。音の上に音を塗るような重さがあって暑苦しいとさえ感じる時もあるのだが、メロディのつくりかたにシューマン独特の鋭敏な感覚が光る部分があって、そのギャップが私はくせになる。こんなメロディを書けるキレっぷりがちょっと普通の人の感覚を超えていると思うのだ。


和歌山市の中心部に入る。いよいよ和歌山ラーメンめぐりが始まる。和歌山ラーメンの特徴は、(1)とんこつ醤油もしくは醤油の濃いスープ、(2)麺がやわらかい、(3)量が少ない、(4)ナルトが入っている、以上4つくらいだろうか。他に知っている情報としては、地元の人は「ラーメン」と言わず「中華」もしくは「中華そば」と注文する。量が少ないので、早ずし(鯖のバッテラみたいなもの)を一緒に食べる。店に入って、テーブルに並んでいる早ずしを先に食べながら待っていると中華そばが運ばれて来るというパターンが和歌山のラーメン屋における典型的な光景なのではないかと推察する。


■まるやま中華そば小松原本店


まず一店目。『まるやま中華そば小松原本店』というお店。和歌山城の前の交差点を南下して2分ほどで着く。大通りに面している。駐車場が店の裏にあって、5〜6台は停められる。


おでんや早ずしもあるが、中華そばのみ注文。600円。スープは魚介の香りがほのかに感じられる醤油味。麺は太さが均一な中麺。昔ながらの中華そばという感じだ。例えるなら、部活の帰りに毎日食べても飽きない味でありながら、一見の観光客も満足させるレベルの高い味。毎日きちんと仕事をしているからこういう味が出せるのだと思う。


和歌山ラーメンは量が少ないので、もう一杯はいけそうだ。


■○京(まる京)


とてもわかりやすい立地にあるのに、車だとまず探せない。ラーメン屋っぽいと思って近づいていった店がうなぎ屋だったり、今度こそはと思って近づくと、別のラーメン屋だったりした。迷っているうちに、シューマン交響曲は第3番『ライン』が終わる。秋らしい名曲だ。外は大雨。道路のいたるところに巨大な水たまりができている。なんだってこんなどしゃ降りの中、わざわざ和歌山まで来て、ラーメン屋を探しているんだろうかと冷静になってしまった。


結局、地図を見て、「ここしかありえない」というところまで行って、車を停めて、いかにも普通のビルといった風情の建物を眺めたらそこが探していた『○京』というラーメンだった。


問題はこの店が少しもラーメン屋らしくない外観をしていることにある。写真で見ると、左の店がラーメン屋っぽいが、中央がそうである。一見、事務所。見かけは建築とか不動産関係の事務所だ。何度もこのあたりをぐるぐる回って確かに視界には入っていたはずだが、まさかこんな外見の店がラーメン屋だとは思わなかった。


早ずしもあったが、中華そばだけ注文。600円。スープはとんこつ醤油。濃い。油が浮いているのでかき混ぜると醤油のスープとなじんでコクが出て、ちょうどよい味になる。麺は中くらいの細さ。柔らかすぎない点は好み。「スタンダードな、おいしい和歌山ラーメン」という印象だった。満足度は高い。私はその日2杯目だったが全く問題なく食べた。


和歌山ラーメンは量が少ないので、サイドメニューを取らなければ、2〜3杯食べることも可能だ。食べ歩きに適したジャンルのご当地グルメかもしれない。


他にはいっさい観光めいたことをせずにただラーメン2杯食べただけで帰る時間になった。子供を迎えに行く時間が迫ってきた。シューマン交響曲全集は終わっていた。帰りはホルストの『惑星』を聴いて帰った。帰りはバケツをひっくり返したような豪雨だった。「火星」が妙に天候にフィットしていた。


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