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ヴァイオリン・ソナタ・第1番『雨の歌』ほか


今日は、日曜出勤で、帰りの車でブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番『雨の歌』ト長調を聴いて帰った。渋くて物悲しい、秋から初冬にぴったりな曲だと思う。そして今日みたいに雨の降る日には特に聴きたい曲でもある。


この曲では、第3楽章に自作の歌曲『雨の歌』の主題を用いたことから、後世、『雨の歌』という通称で呼ばれることとなったが、ブラームス自身がそう呼んだという記録はない。しかし、流して聴いているだけでもピアノの音が雨音に聴こえてくるから不思議だ(私だけかもしれないが)。どんな雨なのか想像してみる。想像の世界では、この雨は決して強い雨ではないが、なかなか止まない。そして時間はきっと夜だ。夜通し降るような雨で、それを家の窓から眺めている。鬱陶しい雨に気分も塞ぎ込んでくるが、そんな気持ちなどお構いなく雨が降る…。そんな情景が思い浮かぶ。しとしと降る雨音のようなピアノに、切なげなヴァイオリンが乗ってくる。哀切の極みという感じだ。両者の掛け合いは絶妙で、ピアノとヴァイオリンが対等に渡り合うヴァイオリン・ソナタの完成形がここにある。


ブラームスは3曲のヴァイオリン・ソナタを書いた。それぞれにキャラクターが異なっていて、どれもが聴きどころを持った傑作群である。


まずは前述の1番『雨の歌』。時に、秘めた思いが爆発するみたいに激しく、これこそロマン派の音楽という風情の名曲である。


2番イ長調は、明るい陽光と穏やかな気候を感じさせる。2番と1番の関係は、交響曲の1番と2番の関係にも似ている。交響曲第1番を書くのに20年もかかってしまった後に、4か月で仕上げた第2番がとてもポジティブで、肩の力が抜けているみたいに、ヴァイオリン・ソナタ第2番も、寛いだ気分を感じさせる曲だ。


3番ニ短調は、渋く、重々しい。私は個人的には3番が最高傑作だと思っている。交響曲第4番のように渋く、3番のような緊張感も持ち合わせている。聴いた後の印象は、交響曲を聴いた後にも劣らない充足感がある。最近、昔かなり苦手だった交響曲第4番が苦手でなくなってきていて、むしろ好んで聴くようになってきているのだが、ヴァイオリン・ソナタ第3番ももっと昔に聴いていたら苦手になったかもしれない。いまは他には代えがたい、とても良い曲だなと思う。


ブラームス : ヴァイオリン・ソナタ第1番

ブラームス : ヴァイオリン・ソナタ第1番


ブラームスのヴァイオリン・ソナタは、モーツァルトが約40曲、ベートーヴェンが10曲も書いたのに比べると少ないけれども、これ以上、どんな曲があり得るだろうと考えると、それだけで十分な3曲となっている。


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