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ピアノ協奏曲第2番&3番


生前ハイドンサリエリモーツァルトらに師事し、作曲家としても演奏家としてもベートーヴェンと並ぶほどのビッグネームだった作曲家ヨハン・ネポムク・フンメルは、歴史の中に忘れられ、20世紀に再発見され再評価され、近年では録音も増えてきており、21世紀の現在に至っている。もっとも有名な曲はトランペット協奏曲で、トランペット協奏曲としては、ハイドンのものと並ぶポピュラーな名曲と言われている。何曲もあるピアノ協奏曲もファンに人気がある。


とはいえ、フンメルのピアノ協奏曲をコンサートなどで聴く機会は、日本では「ほとんどない〜皆無」のレベルなのではないだろうか。


何世紀という単位で忘れられていたこともあったくらいなので、クラシック音楽ファン以外にはあまり知られていない作曲家だが、彼の書いたピアノ協奏曲第2番イ短調(Op.85)と第3番ロ短調(Op.89)はかなりのレベルの名曲で、生前の名声が嘘ではなかったというのが実感できる。これならベートーヴェンと並んで語られてもおかしくない。知らずにいるには勿体ないほどの、ものすごく良い曲なので、一人でも多くの人に聴いてほしいと私は勝手に願っている。


Piano Concerti

Piano Concerti


このCDは、フンメルのピアノ協奏曲を収録したものとしては最もポピュラーな名盤だ。というか、何種類も録音が出ているわけではないので、これくらいしかないとも言える。


第2番は、短調の曲のお手本のような抒情的な曲で、切ない旋律、クルクルと変わる表情、技巧的な早いパッセージ、聴きどころ満載の魅力的な曲だ。こんな感じの曲としては、ショパンのピアノ協奏曲第1番を思い出す。しかし、オーケストラ部分の面白さはショパンのものを上回っているとさえいえる。第3楽章も勇ましくて好きである。


第3番。こちらは凝っている。この凝り具合は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』に対する4番みたいな感じ。王道ではないが、これもひとつの答えという印象の曲だ。甘く切ない、優美なピアノ。一風変わっているが、美しい。そして、ピアノの曲を書くからにはこの楽器に備わった機能を全部使わないともったいない。きっとフンメルはそう考えて書いたに違いない。第3楽章はオーケストラ作品なのにピアノが弾きまくり(フンメルの場合、他の曲でもそうだが特に)、これでもかというくらピアノの音を堪能できる。ピアノが好きで得意な作曲家が書いた協奏曲のピアノのソロ部分はとても雄弁だ。


こんなに良い曲なのに、まだまだCDが少なく、いわゆる人気ピアニストの録音は皆無だ。全世界でCDが2,000枚くらいしか売れないかもしれないが、私はラファウ・ブレハッチが(採算度外視で血迷って)録音してくれないかと切に願っている。


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