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吉野寿司


大阪でもしばらく前から正統派の江戸前の寿司ブームが続いているが、歴史的には大阪寿司の文化がある。


大阪寿司というのは、中世の江戸で始まり現在に至る握り寿司と対照的に語られることが多く、握りたてを食べる江戸前寿司と違って、箱寿司、バッテラ、太巻きなどのように、家に持ち帰って食べる、大阪で昔から食べられてきた伝統的な寿司のことだ。


昔の大阪では、店で食べるよりも、持ち帰って家で食べたり、おみやげにするところから、テイクアウトが主流であり、高級なものだった。箱ずしは作りたてでなくても食べられるので、たいへん流行したらしい。


私は関西に住んで長いが、本物の、キチンとした(スーパーで売っているようなものと違う、有名店の)箱寿司というものを食べたことがなかった。というのは、寿司だけあって高価だからだ。例えば、江戸前の寿司も高価だが、職人さんが対面で握ってくれるのに対し、大阪寿司はテイクアウトがメインであるにもかかわらず、一人前2,000〜3,000円と結構するので、なかなか決心がいる。



吉野寿*1→お店のホームページはこちら)。いまでは少なくなってしまった大阪寿司の店の中で、一番伝統のある店で、本店は本町にあるのだが、デパートの食料品売り場にもテナントで入っていることもあるので、気軽に買うことができる。気軽とは言っても、価格は本店と同じなので、決心がいることは一緒だ。私もそんなテイクアウトを利用した。



米は硬めで、甘みがある。具は熟成されていて、新鮮さを売りにする寿司とは趣が異なる。というより、全く別の食べ物だ。


吉野寿司の箱寿司は、「二寸六分の懐石」と言われる。二寸六分(8.5cm)の押し型を使うため、こういう表現が使われるのだが、確かに美しい外見とそこに宿っている品格ある精神は、懐石料理のようだ。


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*1:正式には「寿司」の字は「鯗」に近い字