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アンスネスによる2大Pコンチェルト(シューマンも)


レイフ・オヴェ・アンスネスのコンチェルト・アルバムを聴いている。


Grieg/Schumann: Piano Concs

Grieg/Schumann: Piano Concs


収録されているのは、グリーグシューマンによるピアノ協奏曲。この2曲は昔はセットで録音されることが多かったが、最近はそうでもなくなった。それぞれ、同じ作曲家による他の楽曲との組み合わせでの録音が多くなった。だから今、この2曲を同時に、それも最新の録音で楽しめるのは嬉しい。


アンスネスノルウェー出身のピアニストで、若手の中では、人気・実力ともに上位を走る。たびたび来日し、その度にファンを増やしている。往年のマルタ・アルゲリッチのような「いかにも天才」といった凄味はないかもしれないが、実力派のピアニストである。


私はまずアンスネスに対して「信用のおけるピアニスト」という印象を持っている。わかりやすい派手さはないが、じっくり聴いてみると、周到な準備に基づいた、実に丁寧な音楽作りをしている。音色は透き通っていて、雄弁すぎず、表現力が豊かで、生み出される音楽からは温かい抒情性が感じられる。安定感があるところはドイツ人演奏家のようであり、音色の彩りの美しさはフランス人演奏家のようである。北欧という生まれがこういうオリジナリティーを持たせている。こけおどしやハッタリや自慢やごまかしがなく(おまけにムラもない)、彼のピアノは「信用できる」と思う。


まずグリーグ。こちらの演奏の方が数段すぐれている。アンスネスにとってはお国ものなので、演奏にかける意気込みと集中力が並大抵の状態ではない。ハイ・テンションである。音の透明感と密度、そしてパッションを感じさせる名演だ。しかもオーケストラは天下のベルリン・フィルで、指揮者は芸達者なマリス・ヤンソンスである。ヤンソンスは熟練の手綱捌きで歴戦の猛者を締め上げる。オーケストラ・パートの迫力がすごくて、しかも気持ちもこもっていて、まるでブラームスを演奏するように、思い入れたっぷりの演奏を聴かせてくれる。


シューマンも秀演だ。曲の好き嫌いで言うと、私はこちらの曲の方が好きだ。演奏の出来で言うと、グリーグには及ばないものの、じゅうぶん満足できる、すぐれた演奏である。グリーグと比べると、曲と一緒になって燃焼するような演奏ではなく、もう少し俯瞰的にまとめる感じである。このブログでも紹介した、ラドゥ・ルプーやマレイ・ペライアによる名盤には及ばないが、聴く価値のある演奏である。


グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲

グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲


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