アリス=紗良・オットのショパン・ワルツ集
アリス=紗良・オットのショパンのワルツ集を聴いている。
■輸入盤
- アーティスト: Alice Sara Ott,Chopin
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 2010/01/26
- メディア: CD
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■国内盤
- アーティスト: アリス=紗良・オット
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2009/10/14
- メディア: CD
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(輸入盤と国内盤でこれほど違うジャケットというのも興味深い。国内盤はアイドル的な売り方がされている。そんな売り方では失礼なほどの本格的なピアニストなのだが。)
私は、ショパンならまずはバラードから、そして舟歌、幻想曲、ポロネーズあたりを聴きたいので、そちらを録音してほしかったのだが、イメージ的にはワルツがいちばんぴったりはまる。
アリス=紗良・オットの演奏を聴いて私が感じるのは、「明るくて、スケールが大きいピアニストだ」ということだ。育ちの良さを感じさせる明るい音色、子供のころからの厳しい鍛錬が推察される高度なテクニック、若さに似合わない確固とした解釈と、大柄でスケールの大きな演奏スタイル。ショパンを弾くために生まれてきた、とまでは思わないが、優れたピアニストは何を弾いても高いレベルの演奏を聴かせることの証明のような名演奏となっている。
1番、2番などの華麗な曲では、あくまでも華麗に。それでも節度を持って。6番『子犬』では大胆にテンポを変える。7番は悲劇的に。9番『別れのワルツ』は少女の傷心に気持ちがシンクロする。10番ではその傷心のまま、旅の一歩を歩み出すような厳しく切ない世界が描かれる。そんな具合に、19曲の物語が紡がれる。
多彩な表現力で聴かせる渾身のワルツ集である。こんなポジティブなイメージに彩られたワルツ集はいままでありそうでなかった。