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バレンボイムの最新ショパン・アルバム


ここ数日バレンボイムショパン・アルバムを聴いている。


ワルシャワ・リサイタル~バレンボイム・プレイズ・ショパン

ワルシャワ・リサイタル~バレンボイム・プレイズ・ショパン


ショパン生誕200年だった2010年の録音で、ショパンの誕生日の前日、2月28日にポーランドワルシャワで行われたリサイタルを収録したCDだ。


子供が小さくて手がかかるため、しばらく演奏会に行っていないので(3年近く行っていない)、こういいうCDを聴くと、ライブの演奏が懐かしくなる。


収録曲は、幻想曲、ピアノ・ソナタ第2番、舟歌、ワルツ第7番、『英雄』ポロネーズ、『子犬』のワルツなどで、ショパン・イヤーだからこそ聴けるような、惜しげもなく並べられた名曲揃い。


総合的にはどれも優れた演奏だが、演奏の出来や私の好みからすると、幻想曲、ピアノ・ソナタ第2番、子守唄がとくによかった。演奏スタイルは、ショパンらしいかと言われるとそうでもないのだが、オーソドックスで熟達した、ある種老獪ともいえる芸達者ぶりを見せる、完成された音楽家のものだ。音色の美しさは生涯どんなふうに練習してきたらこんな音が出るようになるのか見当もつかないレベルで、それに円熟した解釈が加わる。


幻想曲は、聴きなれた曲なのに、いままで見たことのないような世界が見えた。それは芸術家の目からしか見えない幻想的な風景で、見たこともない美しい世界に涙が出そうになった。


ピアノ・ソナタ第2番は、葬送行進曲が傑出した出来。初老に差し掛かった男が栄光と後悔の人生を振り返るような、いたわり慈しむ、情に満ちた演奏だった。


子守唄は小品だが、バレンボイムの手にかかると輝きが違う。どんな大作でも描けない小さな完成された世界が描かれていると思った。


これらの3曲は、『巨匠の演奏』と言ってよいほどの立派な演奏で、満腹感のある演奏だった。


反面、舟歌は立派で円熟した演奏なのだが、私はツィマーマンの演奏に聴かれるような全く隙のない、冷たさを感じさせる、氷の結晶のような演奏の方が好みだ。また、『英雄』ポロネーズは、まるでベートーヴェンの『英雄』交響曲のようなスケール感を聴かせてくれる反面、ゴツゴツとしていて流れが悪く、私は才能ある若いピアニストが情熱だけで弾いたような演奏の方が好きだ。これらの曲には私はショパンらしさを求めてしまう。


とはいえ全体的には、高いパフォーマンスを見せたコンサートで、1曲ごとに起こる拍手も入っていてライブ感満載のCDだった。メモリアルイヤーの、それもワルシャワでの演奏会ということもあって、当夜の観客にとっては生涯忘れられない演奏会となったことだろう。


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