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フェルディナント・リースのピアノ協奏曲


何の根拠もないが、21世紀も最初の10年を過ぎ、これからはマイナー名曲の時代だと思う。きっと知られざる曲・マイナー名曲が脚光を浴びるはずだ。メジャーよりもマイナー。流行よりもサブカルチャー。グルメよりもB級グルメ。脇役が主役よりも注目される時代が来る。


例えば、ハイドンモーツァルトベートーヴェンの間には彼らだけではなく沢山の音楽家がいたはずだ。彼らの多くは忘れられている。宝物を探し出す。同時代の二番手三番手の中にも傑作が無数にある。それが自分にとってかけがえのない曲となるケースがある。これがマイナー曲探訪の楽しみだ。私はクラシック音楽のなかでも、ピアノ協奏曲というジャンルが好きなので、マイナー曲の中に隠れた名曲を発見すると、とても幸せになる。


リースのピアノ協奏曲変イ長調(作品151)もそうやって発見した曲だった。


リース:ピアノ協奏曲集 1

リース:ピアノ協奏曲集 1


フェルディナント・リースは、ドイツのボン生まれであり、ベートーヴェンの弟子であり、友でもあった。音楽史上では、ベートーヴェンに関する貴重な記録を残したことで主に知られているが、圧倒的な人気を誇るピアニストでもあった。ピアニストとしてのキャリアは長く、長期にわたって演奏の最前線で活躍したと言われている。ピアノ作品に加え、交響曲も多数残している。彼のピアノ協奏曲は、全部で9曲が書かれ、佳曲揃いである。


同じようなマイナー名曲として、このブログではフンメルのピアノ協奏曲について触れたことがあったが(→そのときの記事はこちら)、リースのピアノ協奏曲は、フンメルよりももう少し地味である。より正確に言えば、「地味」でもあり、多少「荒削り」である。ただ、フンメルと同様に美しいメロディを特徴としており、さらに、時代的に古典派からロマン派にかかっているところもあって、音楽的に芳醇な要素があり、そこがまた違った魅力を醸し出している。


中でも『ライン川への挨拶』という標題が付けられたこの曲は、リース後期のピアノ協奏曲であり、円熟の作品である。聴いてみると、抒情的な名曲である。モーツァルトベートーヴェンに比べると、主題の印象がやや薄いものの、劇的な部分もあり、全曲を通して繰り広げられる、流れるような美麗なパッセージが聴きどころである。彼自身が巧いピアニストだったため、演奏するのに必要とされる技巧は非常に高く、フレーズのひとつひとつの活きが非常に良い。弾きまくるピアノを味わえるところがピアノファンにとってはたまらない作品となっている。


こういうマイナー名曲がもっと聴かれるようになってほしいと思う。


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