土曜の午後には、わりと自由に時間を使うことができる。仕事があってもたいてい昼までで、そのあいだ子供は妻の実家に預けているので(土曜は保育体制がいまひとつなので保育園には預けていない)、団体行動におけるフリータイムみたいに予定を自分で立てられる貴重な時間となる。
とはいえ、数時間のことなのでゆっくり昼を食べたりしているとあっという間に終わってしまう。あらかじめ予定を立てて、効率的に動かないといけない。定時に仕事を出られるか。高速道路は渋滞していないか。必死である。遊びなんだけど。
先週の土曜は、午後を利用して『草間彌生 永遠の永遠の永遠』展を観に、大阪の中ノ島の国立国際美術館まで行ってきた。これは相当に素晴らしい展覧会だった(→展覧会の特別サイトはこちら)。
まず、通い慣れたいつもの美術館と雰囲気が違うことに気付く。正面エントランスの前の小さな広場に、赤い水玉模様のオブジェが並んでいる。自動ドアにも赤い模様の水玉が描かれている。同じく水玉模様の風船が天井から吊られていたりする。完全に『草間』仕様の美術館となっている。雰囲気がいつもと違い、いつもと違ったこの雰囲気に呑まれる。美術館ジャックみたいな状況がまず斬新。
展示も世界初公開の作品が多数で、ひとつひとつに驚かされたり、勇気づけられたり、途方に暮れさせられたり、温かい気持ちにさせられたり、置いてきぼりにされた。生きる喜びや、死の無情、自然への畏敬、など、様々なテーマを持った作品が圧倒的なパワーで迫り、すべてが見所だった。パワフルな展示だ。
撮影許可の作品もあって、若い人たちがiPhoneで写真をパチパチ撮っていた。カップルで行ってオブジェをバックに写真を撮ったら楽しいと思う。あいにく私は一人。子供を妻の実家に預けて一人でパチリ。
展覧会のコースの終盤には『魂の灯』という作品があった。これはわざわざ観に行く価値がある大作だった。小部屋(箱)の中に入って観賞するという作品なのだが、中に入ると暗い中に光の色を変える電球が無数に吊るされていて、それぞれが鏡に反射し、とても綺麗だった。いや、「綺麗」なんて言葉では言い表せないような神秘的な作品だった。何度も通って体験したい作品だった。
これはかぼちゃのオブジェ。こちらも写真撮影可能作品。みんな撮影していた。
あとひとつ驚いたのは展覧会の混雑ぶりだ。過去のルーブル展、ゴッホ展などの巨大展覧会は別にして、現代アートの展覧会で、ここまで混むかっていうくらいの盛況ぶり。この美術館でチケットを買うのに並んだのは初めてだ。来館者の多くは若い人で、人気ぶりを改めて思い知らされた。すでに認められた大芸術家でありながら、時代の最先端を走るアーティストのパワーはやっぱり普通ではない。強烈な展覧会だった。
そんなわけで子供を迎えに行くまでの数時間、自分の時間を満喫した半日となった。