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ピアノソナタ第24番嬰ヘ長調『テレーゼ』


ベートーヴェンピアノソナタ第24番嬰ヘ長調『テレーゼ』作品78が好きだ。


前作『熱情』と比べると非常に短い作品で、演奏時間は10分少々。小品といってもよいくらいの二楽章構成の作品だが、内容的には聴きどころが多い。 とくに素晴らしいのは第一楽章で、親愛なる人への便りのように愛情に満ちており、控えめな叙情的を湛えた名曲である。『ワルトシュタイン』のように技巧的でも、『熱情』のように革命的でもないが、私はこの曲をとても気に入っている。


副題として知られている『テレーゼ』は、伯爵令嬢テレーゼ・フォン・ブルンスヴィックのことだ。ピアノソナタ第24番『テレーゼ』は、彼女から肖像画を贈られたお礼にという意味もあって献呈された曲である。テレーゼの肖像画ベートーヴェンは生涯、大切に持っていた。彼女は、ベートーベンの不滅の恋人のうちの一人とも言われている女性で、後世、映画などの創作において様々なイマジネーションを生んだ。


不滅の恋人への、特別な思いが、肩肘を張らない、また革命的でもないこうした親密な作品を生んだとすると、ロマンを感じる。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第6巻

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第6巻


CDは、グルダによる全集なども素晴らしいが、アンドラーシュ・シフの全集を最近は気に入っている(シフによるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音は2005年から開始され遂に完結した、21世紀の新定番となるような全集である。全集についてのレビューはまた改めて書いてみたい)。丁寧で急がず、立体的で、魂も入っている。推敲を重ねた手紙のような、書き手の教養が滲み出るような、大人の演奏である。


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