ふろうえん〜慈照寺銀閣〜高台寺

先日、京都に遊びに行ってきた。

最近は観光地に行っても、食事は手を抜いてチェーンのカレー屋で済ませたり、無理に食べずに一食抜いたりしていたが、今回の京都では、その土地でしか食べられないものをきちんと食べたいと思っていた。お寺や神社と並んで、そこも目的地の一つにとなるような店で食事をしたいと考えた。

こちらは銀閣寺道バス停付近にある『ふろうえん』というお店。以前から行きたかった店だ。ジャンルは洋食で、風情のある町屋風のいかにも京都らしい建物である。とても人気のある店だ。

メニューを見るとセットが中心で、「ハンバーグ」か「エビフライ＆クリームコロッケ」がメインのようだ。魚料理も選ぶことができる。私は「ハンバーグ」か「エビフライ＆クリームコロッケ」のどちらを選ぶか迷ったが、メニューの下の方に、両方とも食べられるセットがあることを発見した。迷わなかった。価格は1,950円。

ハンバーグは柔らか目で食べやすい。変な癖がなくて、家庭的でやさしい味。万人に愛される味だ。そして、この大きさは価値がある。エビフライもクリームコロッケも、揚げ具合もが絶妙で、ハンバーグと比べてこれは甲乙つけがたい。どちらを選んでも失敗はなかっただろうが、両方とも食べられるセットにしておいたよかった。所狭しと並んだ、たくさんの惣菜にも手抜きない。酢の物があり、煮物があり、洋食をメインとするコースを食べているみたいだ。

かなりの満足度で店を後にし、いよいよ最初の目的地・銀閣寺に向かう。

ふろうえん
住所：京都府京都市左京区浄土寺石橋町30-1
営業時間：
[月・木〜日] 12:00〜13:30(L.O)17:30〜21:30(L.O)
[水] 17:30〜21:30(L.O)
定休日：火曜日

■銀閣寺（慈照寺銀閣）

銀閣寺というと、中学の時の社会科の先生が、「銀閣寺という呼び名は間違い。正しくは（慈照寺）銀閣。」と説明していたことをいつも思い出す。おかげでいまだに、銀閣寺と呼ぶことに抵抗がある。

侘びた雰囲気が何とも言えない。

銀閣寺全景。

私は、「銀閣」→「金閣」の順で参拝して、連続して御朱印をいただくことにこだわりを持っていた。見開きで左に金閣、右に銀閣というのはとても価値があるような気がした。しかし銀閣で書いてもらうために御朱印帳を開くと、空いているスペースは左側。すでに右側には以前に奈良の元興寺でいただいた御朱印があった。この後、金閣寺に行って御朱印をいただいたとしてもページが変わってしまう。合掌。チーン。確認もせずにここまで来てしまうとは。そんなわけで、金閣寺に行く計画は諦め、南に下って祇園の方面に行ってみることにした。

■八坂神社〜圓徳院

八坂神社には数えきれないくらい行った。この辺りを通ると、とくに用事もないのに入って行ってお参りして、写真を撮り、お守りやグッズを見て、とくに何も買わずに（ここがポイント。八坂神社のお守りは一回も買ったことがない）帰る。そんなことを何回繰り返したことだろう。

八坂神社の南楼門を抜けて、高台寺に向かう。

同じ祇園でも祇園新橋のあたりも雰囲気が良いが、八坂のこのあたりもとても京都らしい情緒に満ちている。少し歩くと、京都でもっとも有名な風景となっている法観寺八坂の塔がある

高台寺の塔頭、圓徳院。北政所（ねね）が余生を過ごした地としてよく知られている。私は初めての参拝。北庭がとてもよかった。桃山時代の作庭当初の状態をよく残していると言われている。特徴的なのは大小さまざまな岩と石で、こいう豪快な雰囲気の庭園は過去にあまり見た記憶がない。

■高台寺

豊臣秀吉の死後、徳川家康の支援の下、北政所により創建。高台寺には桜の季節に行ったことがあるが、混雑と桜のライトアップくらいしか記憶になかった。今回、桜と全然関係のない季節に行ってみて、小堀遠州による回遊式庭園もよかったが、枯山水の方丈前庭が素晴らしかった。

ドーンと広くて、中心に大胆に石が散りばめられている。受ける印象は豪放。こんな感じだったのかと調べてみると、この庭は頻繁にスタイルを変えている。龍をメインに据えたバージョンもあれば、白砂と植え込みによるコントラストを見せるバージョンもあった。今回はこういう感じで、受けたインパクトがすごかった。

そんなふうに感じ入っていると、２年前の同日同時刻に日本を襲った大震災の追悼のお経を上げる声が聞こえてくる。そう、今日だった。関西では震災は今日の私みたいに京都に遊びに行ったりしてこうやって普通に生活しているが、被災地ではいまだ十分な復興に至っておらず、原発の問題などは収束には程遠い。というか、私が生きているうちに解決の道筋もつかないかもしれない。普通の生活が実はありがたいものだと考え、細やかながら合掌した。他の参拝者の方たちも黙とうしたり合掌したりしていた。震災については時とともに風化させてはならない。大した足しにはならないかもしれないが、募金も続けて行っていきたい。