大津の御朱印巡りとしじみ釜飯
滋賀県のお寺というと、比叡山延暦寺と三井寺と石山寺くらいしか行ったことがなかったのだが覚えている限りでも10年近く前のことで、当然、御朱印を集め出してからはいずれのお寺にも行ったことがなかった。
京都、奈良にはよく行っていたが、滋賀のお寺にはブランクがあったので、祭日で仕事が休みだったので行ってきた。
おおざっぱに言って、滋賀県の御朱印巡りの旅は快適で、まず人出が圧倒的に少ない。それでいて、お寺の側では適度に手慣れていてストレスを感じるところが少ない。京都は観光客慣れしているというか、ややすれているし(この場合、自分自身も観光客の一員であるという発想にはならない)、奈良は道が狭い。
■石山寺
石山寺は聖武天皇の命により建立された、滋賀を代表する古刹で、紫式部が『源氏物語』をインスパイアされたという言い伝えがよく知られている。東大門は重要文化財、本堂は国宝である。雰囲気のある、素晴らしいお寺である。
■しじみ釜飯
石山寺の参道すぐの駐車場に隣接して何軒か食事処がある。内容はすべてが和食で、ほとんどの店で琵琶湖の名物をいただける。相当、昔から営業しているはずなので、大当たりはないが外れもないと思う。しじみ釜飯に惹かれて『石柳』という店に入った。
頂いたのは「志じみめし」というメニューだった。1,210円。鯉の洗いなどが付く、より豪華な定食もあったが、私は鯉をそれほど好きでないのでパス。
小皿がおいしい。出汁のきいた上品な味。
しじみをふんだんに使った炊き込みごはんだが、釜飯というのが嬉しい。しじみは琵琶湖畔の瀬田の名物である。釜飯の中のしじみは生のしじみではなくて、いったん佃煮にしたものを使用しているようだった。石山寺から瀬田の唐橋の周辺あたりまで、川魚を売る店がいくつかあって、それらの店ではうなぎや鮒ずしや佃煮などの地元の名物が売られている。
■西教寺
車で行くと湖西道路坂本北インターが最寄りで、日吉大社の近くにある。聖徳太子による創建と伝えられている。小堀遠州による庭園が著名である。
この庭がとても良かったので、家に帰ってから小堀遠州に関連する本を注文した。
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■三井寺(みいでら)
三井寺(みいでら)は正式には圓城寺という名前だが、通称の方がよく知られている。
この日は雨模様で、三井寺ではかなりの大降りになっていたため、写真はそれほど撮れなかった。晴れていれば琵琶湖を見渡せる絶景なので残念だった。また三井寺は桜の名所でもあるので、今日あたりは絶好の花見日和だったことだろう。
たくさんの国宝と重要文化財を持っており、また秘仏も多いお寺である。この日は山内の微妙寺(びみょうじ)で秘仏である『十一面観音立像』が公開されていた。この仏像は土日祝日のみの公開という、お寺の名前同様の微妙さである。
秘仏といえば、金堂の本尊も秘仏で、最近はどこのお寺でも秘仏がどんどん公開されているのでどこが秘仏かと思うときもあるのだが、三井寺の本尊は秘仏中の秘仏で、歴史的に見ても未だかつて公開されてことのない、正真正銘の秘仏である。その秘仏の正体は弥勒菩薩で形は念持仏だと言われているが、弥勒如来という説もあり、おそらくお寺のお坊さんでも見たことのない秘仏だと思う。
本尊の秘仏について、三井寺のサイトで印象深い一文があるので、やや長くなるが、引用してみたい。
「三井寺の本尊は金堂にお祀りする弥勒さまです。 このご本尊は今から千三百年余り前、三井寺が創建された時に 天武天皇から賜わったと伝えられていますが、 絶対の秘仏となっているため、この仏様を拝したひとは誰もいません。
寺伝によれば、この弥勒仏は三国伝来の霊仏といわれ、 中国天台宗の高祖慧思禅師が修行されている時に降臨された 弥勒仏さまが自らの分身として残された三寸二分の御像であるといい、 この御像はつねに光を放ち全身が温かく 「生けるがごとし」霊仏であったと伝えられてます。
この霊仏が百済に伝わり、やがて用明天皇の時に日本に渡来し、 ことに天智天皇はこの弥勒さまを崇拝されたといいます。
幾多の焼き討ちに遭いながらも、ご本尊を守ってこれたことは 奇跡にちかいことです。」(「三井寺」公式サイトより)
チマチマとした俗世を超えた悠久の歴史を感じる。ドキドキしてくる。
秘仏とはいえ本尊であるので、御朱印をいただける。左が三井寺金堂のもの。「弥勒仏」と書かれている。この御朱印は大変ありがたい。