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吉野山の蔵王権現・秘仏御開帳


先日、奈良県の吉野に行ってきた。吉野の古刹、金峯山寺で、秘仏・3体の蔵王権現の御開帳が行われていた。去年も行われていて是非にと見たかったが、行く機会がなく、今年の御開帳を待っていた。そして桜の季節、吉野は相当な混雑となるので避けた。桜が散るのを、五月の終わりを、待っていた。予定日はしかし雨。1週延ばした。その日は晴れた。ついに行くことができた。


金峯山寺には駐車場がない。こんな有名なお寺なのになぜ、と思ったが、行ってみて納得した。吉野の道は狭く、対向車とすれちがうのがやっと。スペースというものがほとんどない。車の場合、中千本駐車場(桜の季節以外は無料)から歩くか、お寺付近に2〜3ある民間駐車場を利用するか(相場は大体は定額で1日1,000円のようだ)、どちらか。今の季節なら比較的空いているので、土産物屋で買い物をするか、飲食店で食事をして、店の駐車場に短時間置かせてもらうことを交渉することも可能かもしれない。私は中千本から歩くことを選択した。


それほど坂道も急ではないので、普段の靴でも歩くことができる。途中、銅の鳥居、古風な商店街を抜けて、ゆっくり歩いて15分くらい。金峯山寺の門が見えてくる。そこからさらに5分ほど歩いてお寺に到着する。



蔵王堂は、東大寺大仏殿に次ぐといわれる巨大な建造物だ。見た印象としては、同じ巨大な建造物でも、大仏殿よりももっと荒々しい。吉野の山奥にこんな巨大な伽藍が築かれたことに驚く。



近づいてみると一層の威圧感。そして秘仏蔵王権現との対面。



仏像は写真撮影できないので、パンフレットを加工したこの画像を掲載する。対面した時の感動は言葉では表現できない。あまりの巨大さに言葉を失う。睨まれただけで石にされてしまうような覇気を持った蔵王権現であった。


風雪に晒されないように大切にされていただけあって、青の彩色がしっかり残っている。手を合わせる。静かに燃える青い炎のようだ。マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』というジャズ・アルバムを思い出した。


カインド・オブ・ブルー(紙ジャケット仕様)

カインド・オブ・ブルー(紙ジャケット仕様)


この秘仏蔵王権現、最近では意外に頻繁に公開されている。


2000年『役行者没後1300年』


60年に一度公開される秘仏だが、2000年に、15年ぶりに公開されて、仏像ファンを驚かせた。


そして、通常なら次は2045年の公開となるはずが、


2004年7月1日〜2005年6月30日『ユネスコ世界遺産登録記念』


2007年10月4日〜8日『世界遺産登録3周年記念』


2010年9月1日〜平城遷都1300年祭『百日特別ご開帳』


そして2012年から10年間にわたり、『仁王門大修理勧進』として毎年一定期間の御開帳がある。


2012年3月31日〜6月7日/10月1日〜12月9日


2013年3月30日〜6月9日←これが今


このように意外に公開されています…。


秘仏ビジネス』なんていう悪い言葉を思いついてしまうが、それでもいつも見ることはできない秘仏というのはありがたいものだ。なにより、見たときの感動。鳥肌が立った。


金峯山寺役行者が開いた修験道の聖地だけあって、普通のお寺では見られない光景が見られた。お寺というと、一般的には仏教をイメージし、お坊さんがいてお経が響くような場所だと考えるが、どうもそうした匂いとは違っていた。例えば山伏姿の修行者もいたりして、ここが普通の土地ではないことを実感させられた。



■吉水神社



吉水神社には駐車場がある。10台くらいのスペースがあるが、細くて急で、真ん中に階段のある変な坂道を登らないといけない。私は中千本の駐車場に車を止めたので、金峯山寺から歩いた。金峯山寺からは早歩きで10分くらい。


 


後醍醐天皇ゆかり、南朝皇居だったこともある由緒ある古社である。神社にしては珍しく、お寺のように拝観料を払って拝観するが、所有している数々の宝物がすごい。狩野山雪の襖絵、狩野永楽の屏風。水戸光圀の直筆の書、一休宗純の直筆、本居宣長の掛け軸、源義経の甲冑、蝉丸の琵琶など数え上げるときりがない。これ、一休さんの直筆だよと子供に教えてあげたら、一休さん自体を知らなかった。


吉野水分神社


吉野水分神社にはぜひ行きたかった。昔、桜の季節に吉野を訪れたことがあって、その時の最終目的地がここだったことから、思い出に残っていた。吉野水分神社には、駐車場、などどいう立派なものではないが、立派に2台、車を止められるスペースがある。楼門下の階段の脇に頑張れば、もう一台停めることができる。いったん、中千本駐車場まで引き返して、車で向かった。



場所は吉野の上千本にある。(さらに奥には金峰神社がある。)ここだけ違う時間が流れている。空気も違う。神秘的な空間だ。ちなみに吉野水分神社は、金峯山寺、吉水神社などともに『紀伊山地の霊場と参詣道』の一部として世界遺産に登録されている。



■如意輪寺


 


如意輪寺は、金峯山寺と比べると驚くほど狭いが、数々の宝物を所有している。金峯山寺蔵王権現のもとになったといわれる金剛蔵王権現木象を所有・展示。そのほか吉野大曼荼羅、涅槃図、楠木正行ゆかりの品々など、見ごたえがあった。


そのほか竹林院、桜本坊にも参拝して、一日たっぷり吉野で過ごした。吉野を堪能した一日となった。


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