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高野山・龍神の旅(3)


旅行の2日目は大雨だった。前日に奥之院まで行っておいていたよかった。この雨のなか奥之院の御廟まで歩くのは厳しい。



朝、女人堂まで行ったもののあまりの豪雨に車から降りるのさえ躊躇した。明治時代に解禁されるまで高野山は女人禁制だった。「高野七口」と呼ばれた七つの登り口には女人堂があって、女性はここまでしか入山を許されていなかった。現存する唯一の女人堂から外を見ると、お地蔵さんが雨に打たれていた。



子院の一つである南院。子院めぐりをすると高野山をよく知ることができるというが、確かに、観光名所になっているスポットを押さえただけでは「宗教都市」・高野山の懐の広さを感じることはできないだろう。「宗教都市」と書いたように、こんな場所は他にはない。こうした子院が100以上もあって、多くの子院が拝観可能である。宿坊のある子院も多い。


 


雨が止む気配はなく、ますます強まってきた。私たちは霊宝館を観て、その後、金剛峯寺にお参りをした。この日は屋内の拝観中心だったので助かった。


高野龍神スカイラインは落石が危険だ。さらに雨のため道がかなりヤバくなっていたが、何とか無事に龍神村に到着。


今回お世話になったのは『上御殿』という宿だった。サービスも料理も高水準であり、このレベルにしては宿泊料も高くはなくて、すでに今後リピーターになること必至である。


 
 


久しぶりに肉を食べた気がする。一般的な旅館の料理からすると、肉や魚の割合はかなり少なく、山菜を中心とした料理ではあったが、久しぶりに食べたように、肉や魚が珍しかった。鹿のたたきがこんなにおいしいなんて。


ビールも飲んだ。伊勢の地ビール会社が作った『熊野古道ビール』がメニューにあったので一本頼んだ。



子供用の食事もバランスが考慮されていてうれしかった。


温泉に浸かり旅の疲れを癒した。雨で外に出られなかったが、その分、部屋でゆっくりとくつろいだ。しばらく読んでいた、司馬遼太郎の『空海の風景』のかなり先のほうまで進むことができた。夜は遅くならないうちに就寝した。


空海の風景〈上〉 (中公文庫)

空海の風景〈上〉 (中公文庫)

空海の風景〈下〉 (中公文庫)

空海の風景〈下〉 (中公文庫)


◇  ◇  ◇


旅行の最終日は晴れた。最終日についてはとくに書くことがない。高野山に戻るルートから和歌山市内に抜けて、和歌山の博物館を見て、和歌山ラーメンを食べて家に帰った。


高野山では数珠を買った。高野山には数珠の専門店がたくさんあって、そのうちの一つの店で選んだ。1,000円くらいから10万円を超えるものまで数ある品揃えのなか、私は1万円くらいの数珠を選んだ。


数珠を買おう。ということを密かに旅の目的にしていた。私は社会人になってもう十何年もたつのに、葬式に出たこともあっただろうに、数珠ひとつ持っていなかった。ネットや通販では味気ない。高野山には数珠の店がたくさんあることは知っていた。どうせ買うなら高野山で買おうと。


わざわざ休みを取って出かけた旅行先が家からそれほど遠くない高野山である上に、目的の一つが数珠を買うというのは、渋いというか、変わっているというか、冷静に振り返ってみると変な旅行だとも思う。


旅行が終わり家に帰ってみて、まだ時間がそれほど立っていないにもかかわらず強く思ったことが、「高野山にまた行きたい」ということだった。荘厳な伽藍と厳粛な奥之院。数々の宿坊。時間の流れが止まったような町。別の時空に存在するかのように他の場所とは異なっている。普通ではない場所。あの雰囲気。私のようにとくに仏教徒というわけでもない単なる仏像好きが行ってもそれは感じられた。


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