カティア・ブニアティシヴィリの『リスト・アルバム』
カティア・ブニアティシヴィリの『リスト・アルバム』を聴いている。
ブニアティシヴィリはグルジア出身の若手女性ピアニストで、いま旬で、最も注目されているピアニストのうちのひとりだ。6歳で演奏会デビューを飾った神童にして、そのピアノは「アルゲリッチの再来」だと言われるうえ、往年の映画スターのようなオーラを持った、エキゾチックなものすごい美人で、2012年の来日公演では男性ファンを文字通り「虜にした」。私はその来日公演に行くことができなかったが、ネットに多数アップされている動画を見て、釘付けになった。
- アーティスト: ブニアティシヴィリ(カティア),リスト,バッハ
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
何なんだろう。この、掻き立てられるようなピアノは。聴いているとゾクゾクする。居ても立っても居られない。感情が走り出す。例えるならば、「魔性のピアノ」。
濃い。これほど濃いリストがかつてあっただろうか。キレまくりの熱演。
早いパッセージでは誰よりも早く、力強い和音では誰よりも力強い。これほど感情がストレートに出るピアノというのは珍しい。エキセントリックと言っていい。私は叩きつけられる音の迫力に圧倒される。なのに弱音は妖しいほど美しい。ピアニシモに酔う。テンポも自在。しかし不安定な印象はない。鮮やかにまとめる。自分のリズムを持っている。
確かにアルゲリッチに似ていると思った。アルゲリッチも自分のリズムを持っていた。アルゲリッチの弾くピアノには特有のリズムがあって、ブラインドテストをしても、他のピアニストとは絶対に間違えないものだった。
20代半ばでこの表現力は凄い。破格。これからどんなキャリアを積んでいくのか楽しみだ。
こちらの動画はパーヴォ・ヤルヴィ指揮によるhr響と共演したシューマンのピアノ協奏曲。高音質で高画質。こちらでも「魔性の演奏」を味わえるはずだ。