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謹賀新年・ベートーヴェンの1番と2番


あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


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11月くらいから仕事が普通では考えられないくらいに忙しくなって、そのまま12月に突入し、怒涛のようなひと月を終え、いまは恐ろしく暇な休日を過ごしている。今日は一日、本当に暇で子供を連れて近所のファミレスに歩いて行って、ビールを飲んで、子供にはドリンクバーを与え、昼食を摂った。書店が元旦から開いていたので、趣味の雑誌を買って帰った。家で読みながらそのまま昼寝でもすることになるのかと思ったら、全然、睡魔が襲ってこなかった。


忙しい時には10分でも寝たかったし、休みになったらよく寝ようと思っていたが、規則正しい生活のためか、昼間に眠くならない。本を読んだり旅行の計画を立てたり、またビールを飲んだりして過ごし、公園に遊びに行って帰ってきて、3時半には入浴を済ませた。それでも時間があった。一日が長かった。贅沢なもので、暇ができると暇を恨んだりする。しかしこういう何も強制されない時間というのが実は一番ありがたいのかもしれない。


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新年最初に何の曲について聴こうかと思っていた時に、私の頭にまず浮かんだのが、ベートーヴェン交響曲第1番と第2番だった。これらの曲は、特に新年向きというわけでもないのだが、なぜか急にベートーヴェンの1番と2番を強く聴きたいと思った。これら2曲の、生命の息吹を感じるような若々しさに惹かれた。


1番。ベートーヴェンにとって最初の交響曲だが、音楽的には最初から完成されていたことがよくわかる曲だ。学問の世界に例えるなら、大学生の卒論ではなく、学会誌に発表される論文のレベルである。交響曲という形式をものにしているだけでなく、後世のベートーヴェンに見られるような特有のリズムの刻みの細かさを既に聴くことができる。第2楽章などは交響曲を何曲も書いているような、職業交響曲作曲家のような熟練ぶりを見せる。


2番。私は1番よりさらに好きだ。この曲から感じられるが英気が好きだ。ポジティブで、若くて、英雄的だ。英雄的。そうだ。まるで次の『英雄』のプロローグであるかのように雰囲気が似ている。第1楽章は本当によくできていて、完成度の高かった1番からさらに違う次元に訪れている感じだし、スケルツォを第3楽章に置くという音楽史上の革新をさらりとやってのけている。聴くたびに私はこの曲が好きになっていく。


しかし、これほどポジティブな2番が書かれたのは、有名な『ハイリゲンシュタットの遺書』が書かれた時期であり、この頃、ベートーヴェンは聴覚を失った頃だと言われている。聴覚の喪失という音楽家にとって絶望的な状況であったにもかかわらず、この曲から感じられる力強さと明るさは何なのだろうか。


2番を書き終えた翌年、ベートーヴェンは、量的にも質的にもこれまでの交響曲を超える大傑作である第3番『英雄』を書きあげた。よく知られている通り、その後のベートーヴェンの生涯は音楽史そのもので、現在、楽聖といえばベートーヴェンのことを指す。


ベートーヴェン:交響曲第1番&第2番[1997年&1999年ライヴ]

ベートーヴェン:交響曲第1番&第2番[1997年&1999年ライヴ]


CDは手元にあったヴァントの最晩年の録音を選んだ。北ドイツ交響楽団の分厚くて重々しいサウンドは、ベートーヴェンに最適とは言えないかもしれないが、ヴァントの実直で緻密な音楽作りは安心して音楽の世界に身を委ねることができる。


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