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『ガンダム展THE ART OF GUNDAM』に行ってきた


大阪・天保山の大阪文化館で開催されている『機動戦士ガンダム展THE ART OF GUNDAM』(→展覧会のホームページはこちら)に行ってきた。私は『ガンダム』には小・中学生の頃に夢中だった。周りのみんなが夢中で、ガンプラガンダムのプラモデル)の入荷が(ガンプラはあまりの人気でよく品切れになっていた)校内男子の一大ニュースとなる時代の事だった。


平日、妻は仕事に行き、子供を保育園に預け、一人で行ってきた。開催してそれほど日が経っていないので混んでいるかと思ったら、思いのほか空いていた。以前に同じ会場で開催された『ツタンカーメン展』が想像を絶する混雑だったので、ある程度覚悟していたが、その心配は杞憂に終わった。地下鉄の大阪港駅から『ツタンカーメン展』に向かう人の波が見えたのとは対照的に、今回は、『ガンダム展』に向かう人を探す方が難しかった。



前売り券を買っていなかったので、チケット売り場に行くと、誰も並んでいない。チケットを見せる展覧会入口にも一人も並んでいなかった。しかし混雑した場合に備えるレーンが作られていたので、土日や夏休みは相当混雑するのかもしれない。平日はよかった。


入り口を過ぎると、まずこの展覧会のために作られた特別映像を鑑賞することになる。この映像は5〜10分くらいの入れ替え制である。放映エリアには一定人数しか入ることができないので、ウェイティングエリアにまず案内される。その後、前回の放映が終わってから入場許可となる仕組みだ。どんなに空いていても、即案内とはならないので、ここでで最低10分くらいは待たされる。混雑を生むとすればここだ。沢山の入場者をさばくのは構造的に難しいシステムだ。待たされている間は、ウェイティングエリアの頭上のモニターで、テレビでおなじみのオープニングが放映される。この間、期待が高まる。


待たされている間、周囲を見渡すと、来場者の多くが私くらいの年齢だった。稀にもっと年輩の人もいた。おそらく往年のガンダムファンだろう。そんな夫に連れ添う妻らしき人の姿もあった。中にはかなり若い人もいる。彼氏に付き合わされた彼女。あるいは彼女の方もアニメファンだろうか。あるいは、美術方面の学生だろう。男2人の来場者もいる。ガンダム仲間だろうか。確かに、ガンダムは仲間がいると楽しい。


特典映像は、来場者が「ホワイトベースのブリッジに避難している民間人」であるという設定で、ジオン軍の追撃を受ける中で大気圏に突入するというシーンを描いたものだ。会場のスクリーンは360度見渡されるもので、後ろにブライト艦長、前方にミライさん、前方右にセイラさんの姿が映っている(わからない人すみません)。来場者は、ブリッジの窓から戦況を見守る。赤い彗星・シャアの操るザクが正面に迫り、ガンダムが追撃する。原作を知っている人なら涙モノのセリフまわしもある。前方で展開される戦闘はアニメではなくCGだが、激しい音響効果もあってスリリングだ。内容は薄く、あまりにもベタな中身だったので私は少々赤面したが、同時にこういうベタなものを期待していた、と興奮した。


特典映像が終わった後は、展示を自由に観ることになる。この展示が、ファン垂涎の、素晴らしい展示だった。テレビや映画で何回も観た、オープニングのスペースコロニーの外壁に穴が開く場面の絵コンテに私はやられてしまった。この積み重ねがあのシーンを生んだのか。そんな感じのお宝ともいえる資料がこれでもかと贅沢に展示されている。多くの来場者が一言も発せず、黙々と展示物を鑑賞している。ボツになった設定資料。おなじみの場面のセル画。お宝の数々。お腹いっぱい。会場は静かだ。みんな、目を輝かせて、集中して、鑑賞している。その姿は聖地で祈りをささげる巡礼者のようだ。


展示室に入ってすぐの、原作者の富野由悠季監督の直筆の原稿に私は目を奪われた。あの壮大なガンダムの世界観が一人の人間の頭の中にあったことに驚愕した。「宇宙世紀」とか、「モビルスーツ」とか、「ミノフスキー粒子」(わからない人すみません)とか、ゼロから生み出されたものである。ガンダムは1979年に放映され、アニメーションの水準としては当時の限界を示すところもあるが、この世界観を創り出した感性はおそらく30年進んでいる。今で丁度良い。というか、現代の作品に、ガンダムに比肩しうる作品が他にあるか、考えるとなかなか出て来ない。いまだ時代が追い付いていないのかもしれない。そんな天才の仕事をこんなに贅沢な資料を見ながら振り返ることができる。


会場では富野監督の仕事机が再現されている。あのガンダムの壮大な世界は、この小さな机から生み出されたのかと思うと、感慨深いものがあった。


入場料は2,000円、展覧会限定で販売されている図録は2,500円。合わせて5,500円というのは高価で、ホテルのレストランで上等なフレンチや中華料理のランチを食べられる料金である。これを高いとみるか安いとみるか、私は「安い」と思った。私は入場料が4,000円でも行ったかもしれない。ファンには素晴らしい展覧会で、ファンでない人(例えば仕方なく旦那or彼氏について行った妻or彼女)にとっては全く価値のない展覧会だ。


グッズ売り場も楽しかった。密かに期待していた迷グッズ。マグカップ、Tシャツ、クリアファイルなどの定番グッズに加えて、この会場恒例?の迷グッズに心の中で突っ込んだ*1。『ガンダムポテトチップス(たこ焼き味)』、『名セリフクッキー大阪弁バージョン』、『たこ焼き柄のハロのクランチ缶』など、どこに出しても恥ずかしくない、ザ・迷グッズで、私の密かな期待は裏切られなかった。それにしても、私も高価な図録を買ったとはいえ、おそるべし他のガンダムファン。みんな平気で1万、2万、買っている。ガンダム・グッズをカード払いするなんて。まさに大人買い


充実した内容で、堪能した。私はこの展覧会に行ってから、空前のマイ・ガンダムブームが訪れ、昔読んだ小説版のガンダムkindleで読み、amazonでブルーレイボックスを注文してしまった。



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*1:『ツタンカーメン展』では『ツタンカーメン麺』という、歴史に残る迷グッズが販売された