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パーヴォ・ヤルヴィの『春の祭典』


3月の末から、パーヴォ・ヤルヴィシンシナティ交響楽団を指揮した『春の祭典』(通称「ハルサイ」)のCDをよく聴いている。


Symphony 5 / Rite of Spring (Hybr)

Symphony 5 / Rite of Spring (Hybr)


「祭典」という日本語のイメージからは「お祭り」を想像してしまうが、原題はフランス語の「le sacre du printemps」なので、誤訳とまではいかないかもしれないが、「春の儀式」とか「春の儀礼」の方が近い。私は序盤の「春のきざしと乙女たちの踊り」のリズムの刻みを聴くといつもドキドキする。そこから始まるストーリーは、まるで自分の知らない部族による禁断の儀式で、エキゾチックでプリミティブで、私はこの部分を聴いただけで、見てはいけないものを見ているような気持ちになる。


パーヴォ・ヤルヴィは、2000年代に、ドイツ・カンマーフィルハーモニーブレーメン(芸術監督)と、hr交響楽団(首席指揮者)、シンシナティ交響楽団(首席指揮者)の3つのオーケストラでのポストに加え、2010年からパリ管の首席指揮者のポストに就いた。一人の指揮者がこのクラスのオーケストラのポストを独占するだけでも注目すべきことなのに、実績が凄かった。その頃、例えばブルックナーの録音はhr響で、ベートーヴェンはカンマーフィルで、というふうに曲によってオーケストラを使い分けるという、音楽的に大変豊かなことを行っていた。パーヴォ・ヤルヴィは今年の9月からはN響の首席指揮者就任が決定しているので、日本のクラシック音楽ファンとしてはとても楽しみだ。


このCDは、2004年の録音で、ストラヴィンスキーでは、シンシナティ響を振った。その試みは成功している。アメリカのオーケストラとしては、驚異的な演奏能力というよりも、古風な響きを持っており、さすがアメリカでも最高の歴史を持つオーケストラだ。まるでボストン交響楽団のような雰囲気がある。この演奏を聴いた後では、hr響やカンマーフィルでストラヴィンスキーをやるところが想像できない。


指揮者の音楽作りは至極丁寧で隅々にまで神経がゆき届いた演奏となっている。難解なところは全然なく、明快なタクトが目に浮かぶ。


このCDには、ニールセンの交響曲第五番も収録されている。ニールセンは今年メモリアルイヤーなのでそれも嬉しい。


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