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リサ・バティアシュヴィリによるヴァイオリン協奏曲


今年はシベリウスイヤーなので(とはいってももう12月・・・)、シベリウスをたくさん聴いた。交響曲は勿論、いままで聴かなかったピアノ曲まで聴く機会を持てたので、メモリアルイヤーらしい、意味のある一年だった。


シベリウスの楽曲の中で、私が最も好きな曲としては、交響曲第5番、第6番、ヴァイオリン協奏曲が順位をつけがたいところで並んでいる。交響曲の録音は、私はいくつか持っているが、もう随分前に手に入れた、パーヴォ・ベルグルンドとヨーロッパ室内管弦楽団による交響曲全集と、オスモ・ヴァンスカとラハティ交響楽団による全集が宝物のような存在となっている。最近、サイモン・ラトルベルリン・フィル交響曲全集を発売したが私まだ手に入れていない。


シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、北欧の凍てつく気候の厳しさをもつような曲で、甘さはゼロ。まるでブラックコーヒーのような苦みのある名曲で、私はとても好きな曲だ。



この曲については、私の中では、ヒラリー・ハーンによるものが圧倒的にベストだったが、一昨年に購入してあまり聴いてなかった、リサ・バティアシュヴィリサカリ・オラモの振るフィンランド放送交響楽団とのコンビで録音したものを、今年繰り返し聴いてみたら、とても素晴らしかった。これはかなり凄い演奏だ。


ヒラリー・ハーンのような自由闊達さはなく、どちらかと言えば固い。ヒラリー・ハーンはヌルヌルとした感じだが、バティアシュヴィリはビシッとした雰囲気だ。一言で言うと、「厳しさ」。例えると、人間、易きに流れがちで、私などは特に楽をしたいものだが、そういう甘さを許さないような厳しさがこの演奏にはある。冬の朝に、コートの襟を立てて、当然、前のボタンも全部締めるくらいの引き締まった感じが近い。


彼女は、16歳の時にシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールで2位を獲得した実績があり、シベリウスが得意なレパートリーであることは確かだが、この演奏は特に気持ちが入っているように感じられる。引き込まれる。音程は極めて正確で、生真面目。演奏を聴く限り、たぶん几帳面でかなり真面目な性格なのではないだろうか。派手さはないが、曲に奉仕するかのような真摯な姿勢がひしひしと伝わってくる。地力のあるヨーロッパのヴァイオリニストによる、際立って出来の良い演奏会に立ち会った気持ちになる。


フィンランド放送交響楽団サウンドは、お国ものだけあって、確信に満ちている。派手さはないが、実直で勤勉だ。冬の雲の厚さを連想させるような重厚な響きで、ソリストと抜群の調和を見せている。


これほど素晴らしいCDをどうしていままであまり聴いてこなかったのだろうか。自分でも謎だ。


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