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松本市・うなぎの『まつか』


9月に行った、その店のことをいつか書こうと思っているうちに、12月も末になってしまった。年が明けてしまったら、もう書く機会もなくなってしまいそうなので、終電に駆け込むような形になってしまうが、慌ただしいこの時期に、残しておきたいと思う。


松本に行ったとき、すごいうなぎを食べた。


信州では、大体、そば、信州サーモンなどの郷土の料理を食べることになるので、たまにはうなぎでも食べようかと思って、家族で、松本市で有名なこちらの店を訪れた。



うなぎの『まつか』。『満津嘉』。暖簾にそう書いてあったので、漢字ではそう書くのか。暖簾はかかっているが、外にメニューの掲示などはない。見た目は、一見さんお断りの料亭か、風情のある古民家か。ここがうなぎ屋であることを示す情報は、外に漂ってくる匂い以外はない。匂い。うなぎを焼く香ばしい匂いは辺りに漂っている。


入ると、民芸風の店内で、複数の部屋を、襖を取り払って大部屋にしたような雰囲気だ。丸いテーブルと座敷がいくつかある。2階もあるようだ。平日の昼なのに繁盛していて、ほどんどの席が埋まっていた。しかし待たずに着席できた。


メニューを見ると、

うな丼(2切れ) 2,970円  うな弁当(3切れ) 4,050円
うな重(4切れ) 5,310円  うなぎ定食(5切れ) 6,210円


と、ある。


た、高い。しかしいまさら店を出ることはできない。うな丼なら安いが、2切れでは寂しい。せめてご飯を覆うくらいでないと。3切れにするか4切れにするか。5切れのうなぎ定食は高すぎる。しかしせっかく来たのだから、高めのものを注文しよう。というわけで、5,310円のうな重を注文した。これは、フランス料理のランチコースを食べられる価格である。


子供がグズリ始めるくらいの時間。うなぎ屋なので、それなりに待たされる。


肝吸いと漬物。そして重箱が二段。鰻とご飯が別々に出てくるのか。上段を開けた時、私たちは言葉を失った。



これは何かの間違いではないのか。信じられない。何というか、これは、多すぎる。



2切れは、左右の身を合わせて数えるのだと思っていたが、この店では、2切れがおそらく一匹だ。したがって、私たちが注文したうな重は、4切れなので、おそらく2匹。4切れというか、4枚である。なんとも豪快。これはすごい。しかもよく太った、分厚いうなぎだ。食べきれるのだろうか。


他の人のテーブルを見ると、大体、うな丼か、うな弁当を食べている。うな丼だけは丼で提供されているが、それでも節約感はない。2切れなので、一番安いうな丼でも、一般的な有名店のうな重の「上」レベルである。



いただきます。おっと。驚きのあまり、山椒を駆けるのを忘れるところだった。


食べながらも、信じられないと、ずっと驚いていた。驚きながら、食事したのは初めてだ。頭の中が整理できず、それでもうなぎの焼きは絶妙だし、濃いめのタレも最高だった。


一言で言うと、価格に驚愕、見た目にそれ以上に驚愕。味に納得。当初、高いと思ったが、この内容では安い。



こんなふうに、ご飯に乗せると、全部が覆われる。なのに、これで2切れ。全体の半分なのである。


何しろ、うなぎがたくさんあるので、2切れはご飯に乗せてうな重として食べても、2切れが残る。余ったうなぎは、それだけで、お茶を飲みながらチビチビつまむ。車で来たことを後悔する。ビールを飲みながら食べられたら最高だっただろう。しかし、それでも、これだけうな重を堪能した後、うなぎだけを食べるなんて、こんな贅沢が許されるのだろうか。


いままでいろいろなうなぎを食べてきたが、久しぶりに、カルチャーショックを受けた。こういうすごいうなぎを出す店が、全国にはあるということなのか。日本は広い。満足しきってしまったので、それ以来、私は一度も鰻を食べていない。

【まつか(満津嘉)】

住所:長野県松本市中央3-2-29
営業時間:11:30〜売り切れ次第終了
定休日:木曜日