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アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ


「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」は、ショパンが若い頃の作品で、もともとは、ピアノと管弦楽のための作品としてポロネーズ部分が書かれた。その後にアンダンテ・スピア―トが付け加えられ、ピアノ独奏曲として発表された。今日ではピアノ独奏版の方がよく知られている。


私はこの作品がとても好きで、舟歌やバラードの4番、スケルツォの3番と並んで、とくに好きな作品である。アンダンテ・スピアナートの穏やかな美しさも良いが、ポロネーズの恐れを知らずに攻めている感じもすごく良い。20代前半の若い作品だが、ショパンは驚くほどの早熟ぶりで、この作品は後期の傑作にもけっしてひけをとらない。



ルービンシュタインのピアノは、王者の風格の漂うピアノである。変な例えになるが、カードで言えば、ゴールドカード。人並以上の苦労を経験し、人並以上の成功を収め、美味しくて高価なものも食べ尽くした、大人のピアニストが、人生の成果を披露するような演奏となっている。


ショパン:スケルツォ&即興曲

ショパン:スケルツォ&即興曲


ルービンシュタインの風格あるピアノに惹きつけられつつも、私は、できればこの曲は若いピアニストで聴きたいという気持ちもある。そんなときは、ユンディ・リを聴く。中国人として初めてショパンコンクールの覇者となったユンディ・リによる、本格的なショパン・アルバムからの一曲である。一言でいうと、若い!獲れたての川魚のようにピチピチとした鮮度の良さが伝わってくる。テクニックは王道をゆく巧さ。若いって素晴らしいと羨ましくなる、情熱的な演奏。熱演に汗が迸るような、若さのバネを感じるような演奏となっている。


Polonaise-Fantasia in a Flat

Polonaise-Fantasia in a Flat


ユンディ・リと同じような、若さが溢れる演奏として、インゴルフ・ヴンダーの演奏がある。私はヴンダーのこの曲の演奏としては、グラモフォンのアルバムに収録されている演奏より、ショパン・コンクールのライブ録音を選びたい。ひょっとしたら優勝していたのではないかと思わせる出来の良さだった。音色の美しさ、テクニックの完璧さ、そして何よりショパンらしいノーブルな演奏で、この曲については、同じコンクールで同曲を演奏したダニール・トリフォノフより、ヴンダーに好感を持った。