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ゼンハイザー『HD598』/DENON『AH-MM400』を買う


新しいプリメインアンプを買ったので(→【DENON『PMA-50』を買った】)、それに合わせてヘッドホンを選ぶことにした。


私が今まで持っていたヘッドホンは、安いものでは1,000円ぐらいで、高いものでも15,000円くらいまでだった。その範囲のものは、価格の割に音が良いものもあったが、質感は期待出来るはずもなく、持つ喜びというのは少なかった。ケーブルの中で断線したら買い替えるということを繰り返していた。そろそろ、長く使えるものが欲しい。調べると5万円や10万円を超えるものもあったが、私にとってはさすがにそれは法外だ。実用品の価格の範囲で、音がよく、長く使えるものを選ぶことにした。そのための予算は、2〜3万円くらいとした。私にとっては、それくらいでもじゅうぶん高級と言える。以前にネットの記事で読んだが、2〜3万円の高級ヘッドホンが良く売れているらしい。購買層は30代から40代。まさに私ではないか。


買うにあたって、休みの日に梅田のヨドバシカメラに行って、午前中をかけて聴いてきた。事前に調べていたソニーの『ソニーMDR1』や、オーディオテクニカの『ATH-MSR7』を中心に、気になっていたヘッドホンを試してきた。上記のうちのどちらかを買うつもりで行ったが、どちらも買わなかった。最終的に買ったのは以下の2つ。


ゼンハイザー HD598



ゼンハイザーの『HD598』。「プリン」という愛称で呼ばれている名機。ヨーロッパのデザイナーズ家具や高級インテリアを彷彿とさせるデザインで、見た瞬間、欲しくなった(素材はプラスチックなので見た目ほど高級感はない)。私がプリンが好きだということを差し置いても、欲しくなるタイプの製品だ。日本の製品では考えられない配色と素晴らしいデザインだと思う。



解像度はそれほど高くはないが、音がとても上品だ。ヴァイオリンは艶やかで、ピアノも粒が揃っている。低音もじゅうぶんだ。例えるならリビングで高価なスピーカーで聴くような雰囲気だった。このヘッドホンでオーケストラを聴いたときの臨場感は相当なもので、シベリウス交響曲第5番を聴いているときなどは、クラシック専用ホールで聴いてみるみたいだった。さらに私が気に入ったのは装着感だった。何時間つけていても耳が痛くならない。イヤーパッドにはベロア生地が使われていて、滑らかな毛布にくるまれて、ふかふかの枕でうたた寝しているような気持ちの良さだった。得意な音楽はクラシック。つけていることを意識させない装着感から、長時間のリスニング、映画などにも最適だと思う。

<HD598仕様>

型式:ダイナミック・オープン型
周波数特性:12〜38,500Hz
インピーダンス:50Ω
音圧レベル:112dB
質量:約246g(ケーブル重量除く)
接続ケーブル:ケーブル長3.0m(片だし)、
6.3mmステレオ標準プラグ(ストレート型)
付属品:3.5mm変換アダプター
その他の機能:E.A.R.機構


DENON『AH-MM400』



ゼンハイザーを買ったときに、視聴して、一番気に入ったのが、DENONの『AH-MM400』だった。他にはB&Wの『P7』も気に入ったが、どちらも予算オーバーだった。しかし、その時の音が忘れられず、後日、DENONの『MM400』を買い求めた。


ハウジングにはアメリカン・ウォールナットが贅沢に使われ、アルミも多用されている。ちょっと高い車のインテリアでも木目調だったりするので、本物の木目というのが嬉しい。大変美しいデザインで、一目惚れだった。『DENON』のヘッドホンと言っても、ヘッドホンがメインのメーカーではないのでピンと来なかったが、自分で試してみて、これは良いものだと思って買った。少々値は張ったが、後悔はなかった。



解像度は『HD598』よりも高めで、音圧も強め。密閉型だからということもあるが、音が近い。攻めている。『HD598』がクラシック専用ホールならば、こちらはジャズクラブだ。小さめのジャズクラブで、一流のミュージシャンの熱気あふれるライブを聴くときの感じが近い。ジャズピアニスト、ケニー・バロンのライブCDを聴いたとき、買ってみて本当によかったと持った。ウッドベースはビシッと締まっており、ドラムは弾けるようで、ピアノは生々しい。クラシックも不向きではなく、ハイドンのような小規模のものから、マーラーのような大規模なものまで、隅々まで鳴らす。モニター的かと言われればそうでもなくて、上手に嘘をついてくれる感じ。こういうタイプの音作りはとても好きだ。よく「DENONの音」(=「豊かな中低音の温かみのある音作り」)と言われるが、そうした傾向を受け継いでいるように思える。また、インピーダンスが『HD598』よりも低めなので、iPod直挿しでも不満がなく、凄い音が出た。

≪AH-MM400仕様≫

形式:オーバーイヤー、ダイナミック、密閉型
ドライバー径:40mm
振動板:32Ω
マグネット:ネオジウム・マグネット
インピーダンス/:32Ω
感度:96dB/mW
最大入力:1,000mW
周波数特性:10-40,000Hz
質量:310 g


2つ買っただけだが、キャラクターの違いが感じられた。いまは映画やクラシック音楽を聴くときはゼンハイザーで、ジャズやポップス、ロックを聴くときはDENONと、使い分けている。


逆が不向きかと言われるとそういうことは決してなくて、気分で変えても良い。例えば、ジャズでDENONからゼンハイザーに変えると、ライブ会場が、梅田の『ミスターケリーズ』から『ビルボードライブ』に変わったような「違い」がある(知らない人、すみません)。また、クラシック音楽だと、『いずみホール』から『フェスティバルホール』に変わったような「違い」が感じられる(わかる人、いるだろうか)。2〜3万円のヘッドホンは奥が深い。プリメインアンプは『PMA-50』で「上がり」にしたつもりだが、ヘッドホンははまりそうだ。