『海遊館』と『BEE HIVE』のハンバーグ

子供が春休みで、私も平日の休みだったので、先日、連れて、大阪・天保山にある『海遊館』に行ってきた。

『海遊館』は出来た当初から人気で、大学から関西に来た私でも何度行ったか覚えていないくらい行っている。海遊館の目玉と言えばジンベイザメの泳ぐ巨大水槽で、その水槽をぐるぐる回りながら下っていく順路となっている。昔は正直言って単調で、退屈な水族館だと思っていたが、今では数度のリニューアルによって、北極海をフィーチャーしたエリアや、生き物に触れるエリアなどができて、他にも見どころのある水族館になってきている。

平日とはいえさすが春休みで、けっこう混雑していた。チケット売り場で少し並び、入館後、最初のエスカレーターの前でも待たされた。それでも巨大水槽のあたりまで来れば、混雑が分散され、ずいぶんマシだった。巨大水槽の周りには座れる場所がたくさんあって、待たずに座ることができた。

私が好きなのは終盤のクラゲのエリアで、ここは何回来てもいいなと思う。出始めの頃に初めて見た液晶テレビのような鮮やかな水槽の中でふわふわと漂うクラゲ。所在なくさまよう姿。驚くほど小さなクラゲから、グロテスクなクラゲまで、様々なクラゲが自由時間を過ごしている。フロアは暗く、水槽の明るさだけが目立ち、まるでスポットライトを浴びているアーティストのようだ。私はこのエリアを密かに「クラゲのショー」と考えている。

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水族館の後は、横にある商業施設である天保山マーケットプレイスで食べても良いし、駅前にも食べるところがいくつかある。ファーストフードもあるし、もしここで選べなければ、梅田や難波に行ってもそれほど遠くない。しかし折角の『海遊館』なので、このあたりでよく知られて店で食べたい。私は事前に決めていた店に入った。有名店だが、私は初めて。『海遊館』に行ったら、いつかは寄ろうと思っていた店だ。

その店とは『BEE HIVE（ビーハイブ）』という店で、昭和26年創業の老舗の洋食店だ。

大通りからは外れているため、人通りは少ない。全体的に、日本の洋食店らしい雰囲気は希薄で、ヨーロッパのトラットリアみたいな雰囲気だ。佇まいが日本らしくない。さすが戦後の駐留外国人を相手に商売をしてきた店だ。お店のホームページを見ると創業の地からは移転をしていると書かれていたが、こういう独特の雰囲気はどうして受け継がれていくのだろうか。不思議だ。

店内は、結構奥行きがありそうだが、厨房を広めにとっているのと、個室を何室か用意しているため、フロアにはテーブルが６つほどしかない。ちょうど昼時であったため、地元のサラリーマンが２組と、私たちと同じように『海遊館』帰りらしい人が２組。あと１組でいっぱいになってしまう。個室の入り口はログキャビンみたいというか船室みたいな感じで、それがいかにも港町の洋食店らしい風情だった。機会があれば利用してみたい。

私は、子供用にオムライスを注文し、自分用にはランチのハンバーグと魚フライのセットを注文した。オムライスは930円で、ハンバーグと魚フライのセットは1,360円だった。

まずオムライスが運ばれてきた。卵は表面は固まっているが中はふわふわで、ホテルで食べるオムレツのようだった。中身のピラフも絶妙な火加減で、鶏肉がゴロゴロ入っていた。なぜか子供が半分くらいしか食べなかったので、残りを快くいただいた。

その後、ハンバーグと魚フライのセットが運ばれてきた。

見たこともないようなハンバーグだ。そのまま焼いたわけでもなく、煮込みにしたわけでもない。ピカタ的というか、一回、卵にくぐらせてから焼いた感じ。それとハンバーグソースもかかっていない。ナイフで切ると肉汁がじゅっと出てくる。卵の衣でガードされていたのだろうか。食べてみる。美味しい。肉のミンチにしっかりと味がついている。これはソースなしで食べられる。いや、このハンバーグにソースをつけるのは邪道だ。ソースで食べるハンバーグは他にどこでも食べられる。しかし、ピカタ的というか、このソースを付けないハンバーグは他にはなかなかない。

魚フライは、小ぶりなものが３つ。大きさが何とも言えない上品さだ。タルタルソースは甘くもなく辛くもないコクのあるもの。このタルタルソースで食べるなら、エビフライやカキフライも美味しいだろう。ちなみにこのタルタルソースはハンバーグにつけてもよい。というか、その食べ方をお店も推奨している。確かに。これは合う。