桃谷『グリルポッケ』のハンバーグ

JR環状線の桃谷にある『グリルポッケ』に行ってきた。

最近、梅田や難波で用事を済ませた時に、食事もその近辺のチェーン店などで食べてしまうことが多いのだが、わざわざ手間をかけて行かないと食べられない店が当然沢山ある。『グリルポッケ』には支店などはないので、食べたければ桃谷まで行かなければならない。私はその日、ハンバーグを食べたかった。桃谷に行って『グリルポッケ』でハンバーグを食べようか。そう思いついた私はJR大阪駅の改札をくぐる。

『グリルポッケ』に行くのは二回目だが、以前に行った時には近くのコインパーキングに停めたので、電車で行くのは初めてだ。桃谷は鶴橋と寺田町の間にある駅で、大阪から行って手前の鶴橋はよく知られているとおり、韓国料理や市場、焼肉で有名だし、先の寺田町は、昔、年に２〜３回訪問する場所があったためよく覚えている。その間、桃谷駅で降りたことは、いままでなかった。馴染みのない駅だった。

駅を降りると商店街のアーケードがある。美味しそうなパン屋、喫茶店、食堂、スーパー、惣菜屋など生活に必要な商店が一通り揃っている。思ったよりも活気があって、人通りも多い。私が今まで降りたことがなかっただけで、桃谷はさすがに大阪市内であり、環状線の駅だ。

ぶらぶら歩いて１０分くらい、アーケードはまだ続いているが、横道に入る。そして５０メートルも行かないうちに、左手にお洒落な外観の店が見えてきた。それが『グリルポッケ』だった。開店は１１時半で私が最初の客だった。

メニューを開くと、ステーキやハンバーグ、フライやビーフカツなどの豊富なランチメニューがたくさんある。以前に来た時には、フライ中心のセットを注文したため、小さいハンバーグだった。そして肝心の「ハンバーグをもっと食べたい」状態に陥ったので、今回はハンバーグを注文した。ハンバーグだけを食べに桃谷にまで来たようなものだった。ハンバーグは１５０グラム、２００グラムなど、重さを指定できる。重さによって値段が決まる。私は標準よりも一段階大きめの２００グラムを注文した。この大きさでライスと味噌汁が付いて1,100円。けっこう安いのではないか。

待っている間、メニューを見たり、店内を眺めたりしていた。メニューであったか別の掲示物であったか覚えていないが、桃谷という地名の由来が書かれていた。このあたりは一面の桃畑であったため、「桃山」という地名であったらしい。それが、「山」というにはこの地域は幅が狭いため、「谷」に変わったということが書かれていた。

料理が到着する。老舗の洋食店らしい綺麗な盛り付けだ。ハンバーグは焦げ目のついた焼きハンバーグで、ソースがたっぷりかかっている。

見た目は満点。味はどうか。箸で切って口に運ぶ。

触感がとても柔らかい。これはきっとつなぎも少ない。肉メインで作っている。肉の存在感。まさしく牛肉の味だ。切った断面を見ると細かく刻まれた玉ねぎが入っている。牛肉の旨みと玉ねぎの甘みが口の中で混ざり合う。焦げ目のついた部分は香ばしくて適度な歯ごたえがある。これはかなりレベルの高いハンバーグだ。ソースは子供から大人まで大好きなドミグラスソースで、ご飯が進む。

私が食事している間、客は他に２組続いた。最初の人は地元の人らしく、私のように一見さん（ではないが）の雰囲気まるわかりでハンバーグを注文したりするのではなく、カレーを注文していた。洋食屋でカレーを注文する人は常連だ。過去にいろいろ注文した結果、最後はカレーになる。洋食屋のカレーは選択肢として間違っていない。名物ではないにしても、絶対に美味しい。私も地元のよく知った洋食屋では、カレーを注文する。しかし最初の（最初に近い）店でカレーを注文する気にはならない。しかしそれが一回りすると何故かカレーになる。私は、洋食屋でカレーを注文している人を見ると常連だと勝手に決めつけている。

私は1,100円きっちりを支払い店を後にする。税別でなく税込みだ。店の近くで二人組のサラリーマンとすれ違う。あの二人も『グリルポッケ』に行ってカレーを注文するのかもしれない。しかし、常連がカレーというのは私の勝手な決めつけで、普通にハンバーグを注文するのかもしれない。

こういう店が近所にあると重宝すると思う。カレーからステーキまで、ランチから御馳走まで、予算に応じて楽しめる。そして夜は、雰囲気の良いビストロに変わる。フレンチ風の凝った皿を肴にワインを飲むこともできる。次は夜に来てみようか。そう心に決めて、桃谷から環状線に乗った。