谷町九丁目『グリルこがね』と休日

大阪の谷町九丁目と日本橋の間にある『グリルこがね』に行ってきた。『グリルこがね』は、昭和34年創業の老舗洋食店で、エルマガジン社のムック『京阪神の洋食』（絶版）にも掲載されている。ずっと行ってみたかったが、場所柄、馴染みのないエリアで、近隣の名所としても生國魂神社があるくらいなので、散策の合間に立ち寄るようなこともなく、今まで行く機会がなかった。

京阪神の洋食―みんな大好き洋食の完全保存版! (えるまがMOOK ミーツ・リージョナル別冊)

作者: 京阪神エルマガジン社
出版社/メーカー: 京阪神Lマガジン
発売日: 2010/02/18
メディア: 単行本
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先日、休みの日に特に予定もなかったことから、わざわざ谷町九丁目で地下鉄を降りた。降りる駅は谷町九丁目でも日本橋でも良く、だいたい中間に位置する。地下鉄の階段を上がって、西に向かって歩いていく。散歩というほどでもない距離ですぐに店に着く。

開店間もない時間で、私が最初の客だった。平日に洋食店巡りをしていると、よほどの人気店でない限り、行列などもできていることもなく、最初の客として入ることが多い。そして少し時間がたつと常連客がちらほら来店し、カレーや一番安いセットメニューなどを注文していく。余所行きの洒落た光景ではなく、日常の光景が良い。

店の雰囲気は昔から営業しているカフェテリアみたいな風情で、割と年季が入っている。しかし清潔で、小汚さは感じない。テーブルも磨かれている。

メニューを見ると、セットメニューが豊富で、品数と種類が異なるものが五種類ほどある。ただしその五種類が何なのかはどこにも書かれていないので、事前に調べていくか、お店で聞く必要がある。私は上記のムックで調べていたので、それを注文した。私が注文したＤランチは、ハンバーグ、エビフライ、クリームコロッケ、焼肉、オムレツ入りで1,450円だ。

ライスは少なめを注文した。私ははそれほど沢山要らなくて、どんなにおかずが豊富でも、ご飯は茶碗一杯で良いくらいだ。こういう店では基本・大盛であることが多いので、少なめを注文することにしている。

接客は丁寧で、好感の持てるものだった。常連と一見を区別するようなところもない。初めての店だと、アウェーな感じを受けることもあるが、そういうこともない。ふらっと入っても落ち着いて座っていられる。常連には常連の、一見には一見の、店を訪れる理由がある。訪れる客を大事にしている店と感じた。

まずスープが提供される。暖かいジャガイモのスープ。コーンポタージュよりも食事に合う。

そしてメインの皿が提供される。

写真だとすごい量のように思えるが、実際は一種類ずつが少な目なのでそれほど大盛りだという印象は受けない。洋食の人気メニューが少しずつ盛り付けられている。あとご飯は少な目としてもらったら本当に少なくて嬉しかった。多くの洋食店では少な目と言っても（サービス精神からか）少ししか減らしてくれないので、少なめが当たった。

焼肉は肉に柔らかさに驚いた。焼肉店の上ロースと言っても通用するレベルの肉だ。全部で1450円なのに、このレベルの肉を使って儲けは出るのだろうかと心配してしまった。また揚げ物、ハンバーグ、オムレツも美味しかった。平均的にどれもレベルが高い。初めてだが、昔から知っているような味。驚きは少ないが、安定感がある。一言で言うと「安心感のある」洋食。変に尖っていない。これは、たぶん年配になっても通うことができる味だ。

その後、小さい子連れの女性客が入ってきた。近所の人だろうか。あんな小さい子連れでわざわざ谷町九丁目まで地下鉄で来ないだろう。きっと近所の人だろう。近所にふらっと立ち寄ることができる、気取らない洋食店があるのが羨ましい。

時間はまだ午前中だった。一日はこれからだった。特に予定もないので、少し歩きながら考えることにする。

松屋町筋を南に向かって歩き出し、２キロも歩かないうちに天王寺公園の北の端に至る。９月になるのに太陽の位置は高く、気温はみるみる上がっていき、帽子を持ってこなかったのを後悔した。９月初めの日差しを舐めていた。私は歩いている間、そういえば一心寺が近くにあったはずだと思いついた。私はお寺好きで結構いろいろ行っているのだが、一心寺には行ったことがなかった。一心寺は御骨仏と納骨の寺として有名だが、観光に訪れるタイプのお寺ではない。そのためわざわざ行くことはなかったが、その日はちょうどその辺りを歩いた日だったので寄ってみた。

盆も過ぎてからかなり経っていたが、それでもお参りに訪れる人は絶えないようだった。お世話になっている、身近なお寺さんという風情のお寺だった。境内にはとてもお寺らしい線香の匂いが立ち込めていた。

そして最終的には天王寺駅まで歩いた。あべのハルカスで開催されていた『スターウォーズ展』が最終日だった。私は『スターウォーズ』シリーズのファンだ。行こう行こうと思っているうちに最終日だったのか。私はそのまま最終日の『スターウォーズ展』を鑑賞した。ネットでの評判なども読まなかったのでどんなものか予備知識なしに訪れたが、かなり良かった。ファン必見だ。と言っても、ファンなら既に行っただろう。第一、最終日に行くなんて、私自身がファンなのかどうか怪しい。