USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

国民休暇村が好き(1)南紀勝浦編


今まで利用したことがなかったのだが、夏に初めて国民休暇村に宿泊する機会があり、それ以来、国民休暇村というものが気にってしまった。今回のブログは夏の旅行の記録で、いつか書こうと思っているうちに、11月になってしまった。


7月、子供が夏休みに入る頃、元々、和歌山県南部に旅行することを決めていて、宿泊先を探していたのだが、白浜は予想通り宿泊費が高かった。そのため最初に却下。続いて串本を考えたが、それでも夏休みシーズンだったので高かった。他にも、すさみ町とか、本宮も考えたが、那智勝浦が以前に行った時にリーズナブルだった印象があったので、あたってみると、夏休みでもそれほど高くなかった。その中で、『国民休暇村南紀勝浦』が検索に載ってきた。それほど高くなかった。「国民休暇村が何であるか」ということもよく知らずに、予約した。


国民休暇村のホームページには以下のように書かれている(→国民休暇村のホームページに行く)。

「休暇村は、日本の景色を代表する国立公園・国定公園などにあるリゾートホテルです。
湖、山、海の雄大な自然が広がる場所で、くつろぎのお部屋や新鮮な地元食材を使った料理、
のんびり浸かれる温泉を、ご家族でも、またお一人でもお楽しみいただけます。
豊かな自然環境の中でのアクティビティやウォーキング、温泉や四季折々の旬の味覚を味わうくつろぎのひととき、
そして周辺の観光スポットを、「見る」、「遊ぶ」、「体験する」旅。
旅は人生の楽しみ。
まだまだ知らない日本が休暇村にはあります。」(『国民休暇村のホームページより』)


wikipediaによると、

国民休暇村(こくみんきゅうかむら)は、国立公園及び国定公園の集団施設地区に設置された総合的休養施設である。旧厚生省により、昭和36年度(1961年度)から整備が始められた。
かつて自然公園の施設整備は、民間の有料施設、それも大半が高級な宿泊施設に偏りがちだった。このため、低廉で健全な宿泊施設を中心として、スキー場、キャンプ場等地域に応じた各種の野外レクリエーション施設を集団的に整備する目的で、自然公園法の公園計画にもとづき制度化された。
国費により国または地方公共団体が整備した基本的公共施設と、年金福祉事業団の直接融資等により一般財団法人休暇村協会(2012年3月31日まで財団法人休暇村協会)が整備した有料施設からなる。」(wikipediaより)


下の子供が小さく、今まで自由に旅行できなかったが、ある程度大きくなってどこにでも連れ出せるようになっている。今まで行けなかった反動からか、私の家は、7月末から10月の間に、3回も国内旅行をした。そのすべてが国民休暇村となるほどに気に入ってしまった。


まずは7月。子供の夏休みに南紀勝浦を訪れた。


串本海中公園


一度串本海中公園に行ってみたかった。子供がでなく、私が、である。もちろん子供も水族館が大好きだが、私も水族館が好きで、いつか「関西の水族館ランキングをやりたい」と思っているが、関西でもまだ行っていないところがある。串本海中公園も私が行っていなかった水族館の一つだ。



串本の海を再現した大水槽。太陽光を取り入れた珍しい水槽だ。太陽の光の状態によって、水槽の景色が変わる。曇りのときにはやや薄暗いが、パッと日光が差すと、美しく姿を変える。人工的なはずの水族館の水槽なのに、太陽光が入るだけでこれほど変わるのだろうか。いつまでも見ていたい水槽だ。



串本の海を明るい色の魚が泳ぎまわる。この素晴らしい水槽に子供も私も大喜びだった。




また、串本海中公園には普通の水族館の水槽ではなく、海の中を見ることができる海中展望塔という場所があって、それが良かった。もちろん餌付けなどをして、魚を集めているのだろうが、それでも作られた水槽とは違う、自然の海の中を様子を見ることができる。



串本の海。2匹の野性の魚が楽しそうに遊んでいる。


熊野那智大社


串本から那智勝浦へは、熊野街道を車で1時間と少し。串本町内には、潮岬(さらにそこから足を延ばせば潮岬灯台)、円山応挙の襖絵のある無料寺、橋杭岩などの名所がある。さらに那智勝浦に向けて車を走らせていくと、『太地町くじらの博物館』がある。また私は行ったことがないが同町内に『落合博満野球記念館』がある。落合ファンはそこまで車を走らせても良いかもしれない。


串本町から車を走らせて1時間と少しで、那智勝浦にある熊野那智大社に到着する。



熊野那智大社熊野本宮大社、熊野速玉大社の3つの大社を指して、熊野三山という。参拝の順序に明らかな決まりはなく、(本宮というほどなので熊野本宮が最初という意見があるかもしれないが、)私たちは、熊野那智大社から参拝した。熊野那智大社の隣には西国三十三ヵ所の札所である青岸渡寺がある。青岸渡寺の境内からは、那智の滝を見ることができる。


熊野古道を歩きたい人は、麓に大門坂駐車場があり、熊野古道のハイライトである、大門坂を歩くことができる。しかし私は、今回、下の子を抱えて、「あの大変な坂」を登り切る自信がなかったので、熊野那智大社のすぐ下の有料駐車場に車を停めて、楽な参拝を行う。


→熊野那智大社についての過去のブログはこちら【熊野三山の旅(2)】


国民休暇村『休暇村南紀勝浦』へ



熊野那智大社から宿泊先である那智大社までは車で30分もかからない。地図では遠く見えるが、意外に早く到着した、という印象だった。部屋は和洋室を予約していた。和室でも良かったのだが、私と息子は洋室の方のベッドに寝て、妻と下の子は和室の方に布団を敷いて寝るという使い方がやり易かった。



昔から、旅館の食事が好きだ。自分で用意をしなくても、遠くまで食べに行かなくても、美味しいものが食べられる。「外れ」の旅館だと、驚くほど種類が少なかったりして、落胆することも過去にはあったが、国民休暇村は「当たり」だった。価格に対して、内容が驚くほど良い。お造りの三種盛りは、ネタは小ぶりだが、鮮度は抜群。



アワビと桜貝のステーキ。貝があると、海のあるところに旅行に来たことを実感する。アワビがあると食卓が一気に豊かになる。しっかり焼いて、レモンを絞って食べる。大げさだが、生きていてよかったと感動する。アワビはまるごと一つなので当然、肝もついている。アワビの肝は過去に一回しか食べたことがなく、おそるおそる肝を口に入れてみると、アワビの身とはまた違った味である。これは凄い。サザエよりも味が濃くて、何だろう、これは。以前食べた味をすっかり忘れていた。大人にしかわからない美味しい苦み。



熊野牛のステーキ。ミディアムに焼かれた状態で供される。熊野牛について私は何も知らないに等しいが、近江牛や但馬牛、松坂牛と区別がつかないレベルの高さ。おいしい鉄板焼き屋のレベル。野菜と一緒に食べるからヘルシーだし、大体、このくらいの量がちょうどよい。



鯛のあら炊き。私はあまりあら炊きを有難がる正確ではないが、これは美味しかった。見た目に反して、食べるところがたくさんある。身がみっちりと詰まっていて、ご飯が進む。


その他、もう食べられないくらいの段階になって、牛すじのグラタンと茶碗蒸しが出る。さらに巻寿司やサラダなどは取り放題のミニバイキング形式なので、3日分くらい食べ過ぎてしまった。


夕食が物足りなかったらビールを買って、持ってきたスナック菓子で晩酌をしようと思うのだが、いつもお腹いっぱいになって、しかも昼間の旅行の疲れですぐに寝てしまう。



朝起きて窓を開けると、この宿が太平洋が一望できる丘の上に位置していることがわかる。


あの部屋と食事、この眺望。それに温泉が素晴らしかった。それをこの価格で(価格は変動するので書かない。しかし民間の宿泊施設に比べるとかなりリーズナブルだ)。国民休暇村おそるべし。


■熊野速玉大社


旅行の二日目は、帰る日でもある。国道168号を経由して311号を使い、新宮市から田辺市まで紀伊半島を横断するルートを取る(というか、行き以外のまともなルートとしてはそれくらいしかない)。間には、熊野本宮大社くらいしか行きたいところがない。しかしそれでも、ひたすら50〜60キロくらいで走る道を、えっちらおっちら走って、2時間くらいかかる。


熊野速玉大社は帰りの出発点となる。




社殿の色、柱の色、全体的な色の印象を、赤い、でなくて、朱い、と表現したい。街中にありながら、静かな場所で、しかも世界遺産


旅行に行くと、訪れたその町に住んでいる自分を想像することがある。朝、焼いたパンを食べて、コーヒーを飲んで、例えば新宮市だったら、徐福公園を横目に見ながら、勤務先まで歩く。そんな想像をしてみると、その町が身近なものになる。あの定食屋は、想像の世界では、私が通っている定食屋かもしれない。私は新宮市にゆかりがないが、自分がこの町に住んでいて、時々、この大社を参拝している虚構の世界を楽しむ。


熊野本宮大社


旅行の最後は、長大なドライブとなるが、その前に熊野本宮を訪れた。何回行っても(二回目だけど)、癒される場所だ。森があって、水辺があって、田んぼがあって、社がある。日本人の心のふるさとという感じのところだ。



熊野本宮大社の鳥居をくぐると厳かな雰囲気。




下の子を抱っこひもで括り付け、転ばないように手すりを持って、長い石段を登る。長い石段を登り終えると、さらに少しの石段があり、本殿がある。本殿は撮影禁止である。大きく撮影禁止と書かれているが、日本語で書かれているため、外国人は平気で写真を撮っている。誰も注意しない。というか英語でも書いたらいいのにと思うが、神様の立場に立ったら、別に写真を撮っても構わないのかもしれない。大らかな場所なのだ。



石段を上り下りして、疲れたので、冷たくて甘いものを食べる。夏の暑い日だったので、冷たくて甘いものを体に入れて、体力が回復する。



元々、熊野本宮大社熊野川の中州にあった。度々、洪水の被害に見舞われ、明治22年の大洪水で大部分を流されてしまった。結果、現在の位置に移る。元来の熊野本宮があった場所は、現在、大斎原といわれ、小さな祠があるばかりとなっている。



歴史を知らなければ、ここに「大」熊野本宮大社があったとは到底信じられない。今では公園のような緑の場所で、訪れる人もそれほど多くない。とても静かなところだ。



本当に小さな祠だ。この静かな場所に、130年前までは熊野本宮大社があったのかと思うと、歴史のロマンを感じないわけにはいかない。何回訪れても良いところだ。できれば来年も行きたい。



『休暇村南紀勝浦』(楽天トラベルより