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国民休暇村が好き(2)近江八幡編


那智勝浦に旅行に行った1ヶ月後、家族で滋賀に行ってきた。前回の那智勝浦の旅行で、国民休暇村が良かったので、近隣の都道府県で、簡単に行ける範囲で国民休暇村がないか調べた結果、近江八幡にあることを知って、滋賀を旅行先として決めた。近江八幡なら、あと2つで満願となる西国三十三ヵ所観音巡礼の32番札所である観音正寺にも行くことができる。


そんなわけで、まず観音正寺を目指して家を出た。


観音正寺


車でのアクセスについて調べてみると、観音正寺への道は表参道と裏参道があり、どちらもすれ違いが困難な車1台分の幅の細い林道を走るらしい。私が参照したサイトでは、表参道が駐車場に置いてから急な長い石段を歩くのに対し、裏参道は緩やかな山道を歩くとあった。裏と表とあれば、表の方が正統っぽくて惹かれたが、下の子はまだ自分で歩けず、石段はハードだ。楽そうに見える裏参道を選んだ。


国道8号線の五個荘南交差点から県道202線佐生五個荘線に入り五個荘町方面に向かう。そして塚本交差点を左折。琵琶湖方面に走っていくと、「観音正寺」に入る案内がある。裏参道の林道の始まりである。


道は大変狭く、車一台通るのがやっとだ。対向車が来た場合、ほとんどの部分がすれ違い不可能で、途中にいくつかある離合ポイントまで戻るか進むかしなければならない。しかし、私たちは途中の対向車とは最初に遭遇したが道がまだ狭くなっていない段階の頃だったので事なきを得た。その後は、日曜日だったのに、その後は対向車とは合わなかった。



駐車場は全部で15台くらい停められるだろうか。私たち以外には2台だけ。意外に空いていた。



こんな感じの山道を20分ほど歩くと観音正寺に到着する。裏参道の山道の人通りはあまりなくて、1人2人すれ違った程度だった。



観音正寺は繖山(きぬがさやま)の山上にあるため、境内から見える景色が絶景だった。美しい田園風景に、「近江路の〜」と、一句詠んでみたくなる(詠めないけど)。



入り口に山門はなく、仁王像が立っている。



観音正寺は、平成5年に火災により、本尊もろとも本堂が全焼した。平成5年というと比較的最近のような気もするが、すでに平成16年に再建されている。新しい本堂で、本尊も新しくなった。本尊は、白檀の木でできた柔和な表情の千手観音で、光背にも千本近くの手が彫られている。


新しく再建された観音正寺であるが、他の西国三十三ヵ所の札所にも共通する独特の雰囲気がある。今熊野観音寺粉河寺にも藤井寺にもある。あの独特の雰囲気。それが何であるのかうまく説明できないが、共通する空気がある。西国巡礼の寺院には、多くの巡礼者を受け入れる懐の広さがあり、精神的に満たされた気分になる。


下山するための帰りの林道では1台車とすれ違ったが、土地勘のあるドライバーらしく比較的広いところまで向こうが戻ってくれたので、無事、すれ違うことができた。


■石馬寺


石馬寺は仏像が目当てだった。大威徳明王像を筆頭に、素晴らしい仏像の宝庫である。しかも滋賀県の仏像は予約制のところが多いのだが、こちらは予約不要で通常拝観可能だ。



観音正寺で表参道の石段を避けたのに、石馬寺で本格的な石段に遭遇した。本格的で、実に教科書的な石段だ。苔むしていて滑りそうだ。そして長い。子供を抱えているので、私は手すりを持って慎重に登る。



滋賀県の山寺は素晴らしい石段のあるところが多いが、石馬寺の石段も素晴らしかった。



仏像は評判通り素晴らしかった。仏像群は収蔵庫の中に保管され、正面に存在感のある阿弥陀如来像。そして十一面観音菩薩像が二体。四天王もある。役行者像もあった。庭園も良かった。


近江若狭の仏像 (楽学ブックス)

近江若狭の仏像 (楽学ブックス)


石馬寺の仏像については、上記の書籍が詳しい。


■琵琶湖


「瀬戸内海の島に行ってきました」なんて書いたら、信じられるかもしれない。海みたいな琵琶湖。遠浅のビーチ。台風が近づいている日で、風が強かったが、強い日差しが眩しかった。



宮ケ浜水泳場。琵琶湖には遊泳場がいくつかあって、こちらは評判の良い遊泳場の一つ。遠くに見えるのは琵琶湖の最も大きな島、沖島である。沖島には人家があり小学校もある。観光ツアーの船で訪れるような島ではなく、生活の島だ。毎時間ごとに連絡船が出ている。



「湖で泳ぐ」という発想がなく、私たちは水着を持ってこなかったので泳がなかったが、泳いでいる人もいた。水は大変澄んでいて、夏の海のビーチとは人出が全然違う。次回は、湖で水遊びというのも良いかもしれない。


■休暇村近江八幡


『休暇村近江八幡』は、先述の宮ヶ浜水泳場をプライベートビーチにするかのような近さで建っている。水泳を楽しんだばかりの水着姿の宿泊客がタオルだけを巻いてそのままフロントをいったん訪れたりしている。リゾート気分満点の宿泊施設だ。




部屋は同じ休暇村の南紀勝浦のようにはリニューアルもされておらず、昔の国民宿舎というかいかにも古い旅館という風情だが、部屋からの眺望は抜群で、琵琶湖を一望できる。


■食事


何より夕食が楽しみだった。近江牛のコースを予約していたのだった。




前菜とお造り。前菜の奥に見えるのは、ビワマスの押しずしで、これは人生で初めて食べた。ビワマスとは琵琶湖だけに生息する固有種で、マスというからマスなのだろう。味は以前に十津川村で食べたアマゴみたいで、生臭さはなく、美味だ。ハモはもう最後くらいのハモだ。季節は夏の終わり。夏の終わりを告げるハモとなった。



近江牛のすき焼き。霜降りの上等な肉。おそらくカロリーは恐ろしく高いのだろうが、今日はそのことは考えないことにする。もうこれだけでご飯2杯は食べられる。



近江牛鉄板焼き。ポン酢と岩塩で食べる。ステーキみたいな肉だ。特に岩塩で食べるのが美味しかった。



近江牛のローストビーフ。すき焼きと鉄板焼きで十分満足していた頃に提供される。美味しいとしか言いようがない。


その他、煮物や創作っぽい料理が続き、満腹となる。もう自分が霜降りの近江牛状態である。


近江八幡


二日目は台風が接近していた。警報が出ていたため、琵琶湖の遊泳場は遊泳禁止となっていた。1日目の方が風が強かったのに、1日目は警報が出ていなかった。今日は波も静かなのに泳げない日だった。朝、宿泊先から出て、琵琶湖のビーチを歩くと、昨日よりも人はまばらだった。


近江八幡の市内を観光して、昼くらいにはこちらを出発する計画で宿をチェックアウトした。



日牟禮八幡宮近江八幡の地名の元となった神社である。



近江八幡の旧市街地は、近江の町の古くからの風情を残している。街を横断する八幡堀に古い街並。そぞろ歩きが楽しい町だ。




水のある街、水郷が好きだ。



飛び出し注意の看板、通称『飛び出しくん(飛び出し坊や)』は滋賀県の発祥。滋賀県を走って(歩いて)いると、ところどころで目にする『飛び出しくん』。古い街並みを保存している近江八幡らしく、『飛び出しくん』も中世仕様である。



たねや』で休憩する。『たねや』というよりバームクーヘンの『クラブハリエ』の会社と言った方が有名かもしれない。黒糖のかき氷を注文。きなこを自分ですりつぶすのが楽しい。上品すぎてあまり食べたことない味。これはかき氷というより和菓子だ。



『クラブハリエ』の旗艦店ともいえる『ラコリーナ近江八幡』。一度写真で見て以来、行ってみたかった。建築のことは全然わからないが、「世界の名建築」みたいな写真集に載るような素晴らしい場所だった。


個性的なリゾートっぽさが、映画『007』シリーズの敵の組織の秘密基地みたいなイメージだ。ジェームズ・ボンドがボンドガールと乗り込んでいった先は、一見、個性的なホテルだが、地下は悪の巣窟。テクノロジーを駆使した秘密基地となっている。そんなイメージを想像すると楽しくなってくる。


ほとんど何も買わず、バームクーヘンも買わず、見るだけになったような格好だが、行ってみた価値があった。



『ラコリーナ近江八幡』で雨が結構降って来たので、旅行はもうおしまいにすることにした。旅行のお土産には東近江市の『ひとみワイナリー』で「にごりワイン」を買って、家に帰ってきた。



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