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国民休暇村が好き(3)竹野海岸編


夏から秋にかけての国民休暇村の旅も今回で最後。今回の旅の目的地は、兵庫県日本海側、竹野海岸だ。城崎温泉から車で30分くらいのところに位置している。


美味しい魚を食べて、ゆっくりと足を伸ばして風呂に入り、畳の部屋で寛ぎたい。毎日仕事で夜遅くに帰ってくると、そういう欲求が沸々とわいてくる。ゆったりとした時間の流れに身を置きたい。そして久しぶりの休日がやってきた。家でゆっくり過ごしていたら良いのに、わざわざ遠くに出掛けていく。ゆっくり過ごすために、時間をかけて、大変な思いをして、遠方の温泉地に向かう。今回の目的地はなにしろ日本海だ。家から3時間以上は優にかかる。


和歌山県東海岸も相当遠いが、兵庫県日本海側の方が心情的に遠く感じる。まず中国道で百パーセント渋滞に巻き込まれるという気の重さも関係してるのかもしれない(そして実際に行きも帰りも渋滞に巻き込まれた)。


城崎マリンワールド


朝、7時前に家を出て、途中のサービスエリアで休憩をはさみ、着いたのが11時過ぎ。やっぱり遠い。城崎マリンワールドはこのエリアでは子供にとっては最も楽しい水族館だ。城崎市街から車で10分ほどの日和山海岸沿いにある。



遠いのに、何だかんだ言って私は3回目の訪問となる。新しいエンターテイメント型の水族館とは違って、昔ながらの素朴な水族館で、水族館ゾーンの他にも、アジが釣れる釣り堀があったり、釣れたアジはその場で天麩羅にしてもらえたりする。私はそういうことにあまり興味がないが、子供は釣りをしたくてたまらないようだった。こういうタイプの水族館は最近珍しいのかもしれない。もちろん、イルカやアシカのショーもある。



ナポレオンフィッシュ。こちらの近くに寄って来た。存在感抜群だ。



こちらは日本一深い水槽で、水深12メートルだそうだ。



ぼーっと水槽を眺めているといつのまにか時間が経過している。他にも、セイウチがいたり、オオサンショウウオがいたり、結構充実している。


昼食は、マリンワールドのレストランでとった。休日でけっこう混雑しており、私たちの後には待つ人が出てきたが、回転は早く、それほど待たされないようだった。



シーフードのワンプレートランチ。エビ、イカ、アサリのグリルに、サラダ、スープ、ライスという内容だ。味付けは素朴な塩味だった。価格は遊園地価格だが、味は悪くなかった。



上の子はお子様ランチではなく、お子様いくら丼にした。お子様ランチを頼まないところが変わっている。下の子には、持ってきた赤ちゃんせんべいを食べさせた。


竹野海岸


観光地や、ガイドブックに出ている場所以外にも、行って良かったと思える場所がある。そういう場所の方が後々、思い出に残っていたりする。竹野海岸は以前に一度通ったときに、太平洋側の海とは趣の異なる風景に軽いショックを覚えた。ダイナミックで荒々しい海で、こちらの海はちょっとしたことで波も高い。


今回は車を駐車場に停めてビーチを歩いた。雨は降っていなかったが、風が強く、波しぶきが激しい。



浪がドーン、ドーンと音を立てる。波打ち際に歩いて行ったら、予想よりも波がこちらの方に迫ってきて、さらわれそうだ。



日本海はハードで厳しくて物悲しい。なんとなく、ポルトガルのファドが似合いそうな海だ。


国民休暇村竹野海岸


国民休暇村には早くに到着した。すべては「ゆっくりする」ためだ。宿泊先は『国民休暇村竹野海岸』だ。夕食前に温泉に入り、部屋で寛ぐ。昼間の観光と運転の疲れで、睡魔が襲ってきて、20分くらい熟睡してしまう。そうこうしているうちに、夕食の時間となる。


日本海の宿の楽しみは、豊富な海の幸だ。



本日のメニュー。城崎の玄武洞のマスコットキャラクター、ゆるキャラ『玄さん』が描かれている。



前菜の盛り合わせ。ハイボールを注文したので、こういうものが有難い。普段なら、これだけで十分おかずにいなるが、今日はこれがスタートに過ぎないというのが嬉しい。



お造り盛り合わせ。メニューにはマグロ、水蛸、カンパチ、甘海老、地魚と書かれているが、地魚とは何だろう。鯛の一種だろうか。白身が美味しい。プリプリとした弾力があって、これはちょっと家の近所では食べられないレベルの刺身だ。



水蛸のしゃぶしゃぶ。蛸は生で、湯にくぐらせると、身が白くなってくる。固くなりすぎないくらいのところで上げると、まるでグミみたいな触感。ポン酢と薬味で食べる。



ご飯と味噌汁、漬物はバイキングコーナーで自分で準備する。昔から炊き込みご飯が好きだ。お焦げの部分が最高だ。



鱧の天麩羅。ふわふわ。



八鹿豚の朴葉焼き。味噌仕立てだ。「メインが豚か〜」と当初は思ったが、これがかなりよかった。八鹿豚はブランド豚で、三元豚の一種、地元でしか食べられない珍しい食材だ。何でも、餌にも気を遣い、ストレスの少ない環境で育てられているらしい。味には変な癖がなく、身が引き締まっており、脂身にもじゅうぶんな歯ごたえのある、上質な豚肉だった。


高いプランではなく、普通のプランだったが、休暇村の食事は価格に比して内容が濃かった。



夜はぐっすり寝て、朝、カーテンを開けると、日本海のダイナミックな景色があった。



宿の外にはウォーキングコースが整備されている。展望台からはこの景色だった。


竹野海岸の周辺の観光スポットとしては、城崎市街を散策しても良いし、玄武洞に行っても良いし、出石でそばを食べるのも良い。豊岡市内のカバンストリートでショッピング、という手もある。でもそれらの全ては過去に行ってきた。そこで今回は、今まで行ったことのないところを選んだ。


兵庫県立コウノトリの郷公園



いままではあまりこういうところに行かなかったが、一日目に人が集まる観光スポットに行ったので、二日目はゆるく行くことにした。


 



兵庫県立コウノトリの郷公園は、兵庫県立大の研究施設でもあり、数が少なくなってしまったコウノトリの繁殖に成功し、自然に還す試みを行っている。園内のコウノトリ文化館では、絶滅しかけたコウノトリを守り、増やしていった、これまでの試みが紹介されている。その歴史は涙なしで語れるものではなかっただろう。



田園風景。コウノトリが住みやすい環境づくりのため、園内はもとより周辺の田園でも、農薬を使わないなどの徹底がされているとのことだ。





園内ではコウノトリが至るところに放し飼いにされている。ここで育ったコウノトリが各地に飛来し、四国、九州、三重などかなり遠くでもこちら由来のコウノトリが目撃されているらしい。


■最後にまとめ


夏から秋にかけて、連続して3回、国民休暇村に宿泊することになった。それくらいファンになってしまったわけだが、何がそんなに良いのか、国民休暇村の良さについてまとめてみた。

  • 立地が良い

国民休暇村の成り立ちともかかわってくるのだが、民間の宿泊施設を建設できない国立公園など、風光明媚な景勝地にある。

  • 家族に良い

乳幼児用の椅子なども事前に伝えておけば準備してくれている。また、他の宿泊客も小さい子連れの家族が多く、少々泣いていても白い目で見られることもない。家族連れが浮かない雰囲気になっている(というか家族客か年配客ばかり)。

  • 内容のわりにリーズナブルな価格

利益が出なくてよいというわけではないが、民間の宿泊施設と違って、利益優先ではない経営ができる。クーポンやお土産をもらえることもある。利益がきちんと宿泊客に還元されている気がする。


そんな感じで、夏から秋にかけて通った国民休暇村の最後の旅行先から、しっかり中国道の大渋滞に巻き込まれて家に帰って来た。


◇  ◇  ◇


国民休暇村についての旅のレポートも今回が最後です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



『休暇村竹野海岸』(楽天トラベルより)