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パーヴォ・ヤルヴィの交響曲第1番『春』


季節ごとにそれぞれ聴きたい曲がある。例えばベートーヴェンの第九は年末に聴きたいし、ウィンナワルツは新年に聴きたい。ブラームスの4番を真夏に聴きたいとはあまり思わないし、シベリウス交響曲も夏には似合わない。


シューマン交響曲第1番『春』は、よく知られている標題の通り、私は春に聴きたい。ちょうど今くらいがぴったりで、私の中では春に聴きたい曲ベストワンだ。



今朝、散歩の途中、近所の桜を見に行ったが、まだ開花して間もないくらいだった。これから一週間で五分咲き、七分咲き、満開へと一気に進み、2週間も経つと完全に散ってしまう。今はまだ咲きはじめ。まだ冬用のコートが必要なくらいに早朝は肌寒い。シューマン交響曲第1番『春』は、今くらいの季節にぴったりな曲だと思う。


この曲には、もともとのバージョンでは、各楽章にとても春らしい標題が与えられていた。

第1楽章: 春のはじまり、谷間の春
第2楽章: 夕べに、牧歌
第3楽章: 楽しい遊び
第4楽章: たけなわの春


この曲はとてもシューマンらしい曲だと思う。感受性が豊かで、大変美しく、尖っていて、少しグロテスク。ドイツの作曲家のものを聴きたい時、気分的にベートーヴェンでも、ブラームスでも、メンデルスゾーンでもない時に、意外にシューマンが合う。


■国内盤

シューマン:交響曲第1番「春」&第3番「ライン」

シューマン:交響曲第1番「春」&第3番「ライン」

■輸入盤

Schumann: Symphonies No.1 Spring & No.

Schumann: Symphonies No.1 Spring & No.


CDはパーヴォ・ヤルヴィのものを選ぶ。若く、透明感があって、溌剌とした音色を持つオーケストラのキャラクターが、この曲の雰囲気と合っている。オーケストラは能動的で、指揮者との共同作業を心から喜んでいるようだ。パーヴォ・ヤルヴィの音楽作りは、生命力に満ちている。ヤルヴィのタクトで、世界が突然、モノクロの世界からカラーの世界に変わったように、鮮やかな色彩を描き出す。春らしい快演だ。