USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

神戸元町 『洋食屋双平(SO-HEY)』


神戸の元町に行った時、『洋食屋双平(SO-HEY)』に行った。有名なお店で、以前から行きたいと思っており、幾度となくこの周辺を通ったことがあるのに、不思議と今まで行く機会がなかった。



『洋食屋双平(SO-HEY)』は、神戸元町の中華街・南京町のメインストリートから一本入ったところにある。南京町の中心部は中華料理店や中国雑貨店ばかりだが、一本横道に入ると、西洋風のオシャレなカフェやセレクトショップがある。歩いていてとても楽しいエリアだ。



その日私は購入したてのカメラを首からぶら下げていた。南京町の中華街を歩いていると、まるで自分が今日の午前の便で北京に到着して、ホテルにチェックインしたあと、いよいよ町に繰り出した旅行者みたいだと錯覚する。そんなオリエンタルなムード満点の中華街を散策し、路地に入ったところで店を見つける。



開店直後の11時過ぎで既にカウンターには二人、先客があった。カウンターメインで7席くらいのこじんまりとした店だ。見かけは「ジモトのこじんまりとした喫茶店」で、常連客に心地の良さそうな雰囲気である。カウンター越しの厨房側の壁の棚にはミニカーやモデルガン、クラシカルなフィルムカメラなどが置かれている。趣味の店、という感じだ。雑貨屋、喫茶店でこういう雰囲気は多いのかもしれないが、洋食店では珍しい。


こちらの店の名物は、ドビーライスとミンチカツだ。ドビーライスとはデミグラスベースのソースがかかった、この店のオリジナルメニューらしい。今回の私の目的はミンチカツだった。


私はミンチカツ2個とエビフライがセットになっている、ミックス定食を注文した。900円と書かれていた。神戸の有名洋食店であるのに、この価格は安い。


お店はご主人と奥さんで経営されている。奥さんが生野菜とマカロニサラダの盛り付けや、ご飯の準備を行っている。


ミンチカツって、あまり店で食べるイメージがない。コロッケは買うが、ミンチカツはあまり買わない。しかし昔を思い出してみると、子供の頃にはよく食べていた食べ物で、近所の肉屋でコロッケと一緒の売られていたり、スーパーのお惣菜として売られているものを家族が買ってきて家で食べていた。また家でトンカツを揚げるときには、一緒にミンチカツが食卓に上っていたことを思い出した。私の故郷では「ミンチカツ」ではなく、「メンチカツ」あるいは短縮して「メンチ」と呼んでいた。日本の東の方では「メンチ」、西の方では「ミンチ」と呼ぶのだろうか。そういえば最近、ミンチカツを食べたのはいつだろう。いつ以来だろうか。私はスマートフォンをカバンの中に入れたまま、本も開かず、御主人の趣味の世界が広がっている壁の棚を見つめながら、そんなことを考えていた。


カウンターの上に、これから準備する客の数の皿が並べられ、すでにサラダが盛り付けられている。ご主人はフライを揚げ、揚がったものからザクッと包丁で切り、皿にのせる。そしてソースをたっぷりかけて、すぐに提供される。同時に、奥さんがご飯を用意してくれる。先客の2人の分の定食が先に提供される。ミンチカツだけのセットを注文していたようだった。値段は調べなかったが、エビフライ入りの私が注文したものよりも安いはずだ。900円より安いとすれば、700円くらいだろうか。それなら毎日通って食べられるだろう。こういう店が会社の近くにあるのであれば、とても羨ましい。


続いて私の分が目の前に置かれた。



『洋食屋双平(SO-HEY)』のミンチカツは、揚げたてなので、熱々で美味しい。衣は重くなく、カラッと揚がっている。中身はたっぷりのミンチ肉だ。粗挽きで、細かく刻んだタマネギが入っている。そのまま焼けばハンバーグにでもなりそうなミンチ肉だ。ハンバーグなら割とどこでも食べられるが、ミンチカツとなるとそうはいかない。ミンチカツを名物にしている店は意外に少ない。だから、これは店で食べる価値がある。ソースは、長時間煮込んだと思われる、少し苦みが感じられる濃厚なドミグラスソースだ。たっぷりかかっているのが嬉しい。


エビフライも良かった。ぎゅっと身の詰まった、なかなかのエビだった。


それと、私はたっぷりのサラダも嬉しかった。ファミレスやチェーンのレストランではこうはいかない。野菜は高いが、それを出す必要がある。これくらいのメインにはこれくらいの野菜がいる。しっかりと野菜を提供する、サービス満点な店なのだった。そういうポリシーの店は良い店であるはずだ。


そろそろ食べ終わるころに、次の客がドアを開ける。「四人なんですけど家族行けますか。」という声が聞こえ、ベビーカーにのせた小さな子供が見える。「奥のテーブルにどうぞ。」とご主人が答える。気付かなかったが、奥にテーブルが見えた。小さな子はカウンターだと厳しそうだが、あのテーブル席なら家族でも食べられそうだ。



私は一人の食事を終えた。味もよく、雰囲気も良く、感じも良い店だった。その日はまだ午前中が終わったばかり。時間はたっぷりあった。南京町を歩きながら、頭の中で、これから神戸のどこに向かおうか計画を立てていた。

【洋食屋双平(SO-HEY)】

住所/兵庫県神戸市中央区栄町通2-9-4川泰ビル1F
営業時間/11:00〜17:30(L.O.17:00)
定休日/水曜