USHINABE SQUARE

クラシック名盤・名曲と消費 生活 趣味

大阪上町『中華そばうえまち』


先日、大阪でよく知られているラーメン店『中華そばうえまち』に行ってきた。私はラーメン店巡りをするようなマニアでは全くないが、この店のことは知っていた。関西のグルメ情報紙『あまから手帳』に掲載された店をまとめた『大阪ミナミ100選』に、この店が載っていたのだ。店主は大阪の名店、ラーメン好きなら誰でも知っている『カドヤ食堂』の出身。


写真で見るラーメンの美しさに、いつか行って見たいものだと思っていたのだった。


大阪ミナミ100選―決定版 (クリエテMOOK あまから手帖)

大阪ミナミ100選―決定版 (クリエテMOOK あまから手帖)


大阪市内で家からも遠くないので、いつでも行けるが、いつでも行けるということで、行かないままになっていた。それが先日、特に予定もない休日があって、いよいよ出掛けて行った。


私は、開店直後を狙って向かう。しかし、グーグルの経路検索などできちんと乗る電車を決めず、焦って速足などで歩いたりしなかったので、着いた頃にはすでに開店時間を過ぎていた。店の外にもう3名待っていた。私はその後に続く。さらにその後、私の後に3人4人5人目が続いていった。ラーメン店なので、回転は早く、20分もしないうちに、私の前には誰もいなくなる。


いよいよ私の順番が来て店内に案内される。店内はカウンターのみで全部で8席。しかし、外から想像するよりも奥行きがずっと広い。横の席との幅が広く確保されている。よく人気店でも隣の席との距離が近くて肘同士が当たりそうな店が多く、そういう店は私はあまり得意ではない。ひしめき合っている感じがどうも苦手だ。その点こちらは距離が広くて良かった。自分のスペースが保障されていると、味に集中できる。私は850円の中華そばを注文する。


常連らしい客が、店主と何やら世間話をしている。その常連客の前には瓶ビールがあった。ご飯ものと中華そばでチビチビやっていた。飲もうと思えば昼からビールを注文することもできるのだと知った。他の客は、この周辺のサラリーマンと、40代後半くらいのカップル(夫婦?)。醤油以外にも、塩ラーメンを食べている人もいる。「塩」という手もあったのか。醤油ラーメンの店というイメージがあって、醤油を食べたくて来たので、塩という発想はなかった。



そのうち私の中華そばが出来上がる。その肝心の味だが、文句なく美味しい。これこそスタンダードな『ザ・醤油ラーメン』というものだった。スープは、醤油の一番美味しい面を引き出している。麺はやや柔らか目で、優しさが溢れている。チャーシューは脂身付きの肉厚なチャーシューが一枚。これだけをご飯に乗せて食べたいレベルのチャーシューだ。メンマもありきたりではないような気がする。とにかく、一つ一つがいちいち美味しい。


先述した『大阪ミナミ100選』によれば、スープは「大和肉鶏、黒さつま鶏「黒王」、霧島高原純粋黒豚を使用」と書かれている。高級食材。麺は自家製の平打ち麺。歯ごたえが凄くあるというタイプではなく、のどごし重視のツルツルのタイプ。ちなみに「麺硬め」などの注文は出来ない。スープ、麺、薬味、チャーシュー。文句のつけようがない。客の好みを反映させると、バランスが崩れるのだろうか。完成品の味のバランスとは、それくらい繊細なものなのかもしれない。


私は出身が関西ではなくどちらかと言えば東の文化で育ったので、昔から、ラーメンと言えば東京風の醤油ラーメンだった。塩や味噌や豚骨のラーメンを食べて、美味しいと思いつつ、もしも一生同じ味のラーメンしか食べられないとなったら、迷わず醤油を選ぶ。


なので、とても嬉しい。それも、素材や材料を吟味し、良い素材を使って、熟達した手順で作られた極上の逸品。


食べ終わり、850円の勘定を済ませて店を出る。待っている人の列はさらに伸びるかと思えたが、そうでもなかった。私が店を出る頃も同じくらいの状態だった。このくらいなら次回も待つことを気にせず、行くことができる。極上の「醤油」を食べられるこの店の「塩」はどうなのか。今はそれが気になっている。

【中華そばうえまち】
住所/大阪府大阪市中央区上町A番22号
営業時間/11:00〜14:30・18:00〜21:00
定休日/月曜