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『DEATH NOTE』デスノート


DEATH NOTE デスノート(1) (ジャンプ・コミックス)

DEATH NOTE デスノート(1) (ジャンプ・コミックス)


デスノート』を職場の後輩のKさんに借りて読んだ。
連載も終了し映画化もされブームも落ち着いてきているのに、私のところにはブームが遅れて来るらしい。


これ、相当すごい。

ストーリーは、死神が1冊のノートを人間界に落とすところから始まる。
そのノートとは、「殺したい人間の名前を書くとその相手が死ぬ」という恐ろしいものだった。
ノートは主人公・夜神月に拾われる。彼はそのノートを武器に、悪人のいない理想の社会を建設しようと考え、犯罪者の名前を書き込む。
凶悪犯罪者が連続して不可解な死を遂げる。いくら凶悪犯罪者だからといって、公然と殺人が犯されることを警察が黙ってみているわけがない。遂に、世界各国の警察や、FBIでさえもその指揮下にあるという謎の探偵・L(エル)が登場する。


主人公とLとの対決。両者負けず劣らずだ。手に汗を握る知恵比べ。そしてストーリーはどんどん膨れ上がる。ノートの存在が闇の世界へと知られ、様々な勢力がそのノートを手に入れようとする。こうして物語は予期せぬ方向へと進んでいく…。


ひとつのエピソードが次のストーリーの伏線となるという、よく練られたプロット。
セリフと展開をよく覚えておくと、ああそういうことだったのかと納得する場面が多い。
登場人物も魅力的だ。特筆すべきは絵の上手さ。性格ばかりか癖までも描く。また登場人物の変化さえも読者に伝える上手さ。例えば、主人公の父親の絵などは、見事に老化を描ききっている。


この数日、すっかりはまってしまった。


◇  ◇  ◇


実はこの本、12巻完結なのだが、6巻までしか借りなかった。

Kさんは「全部持ってきましょうか」といってくれたのだが、そこまで夢中になることはないだろうと

半分の6巻だけ借りることにしたのだ。


ところが、私は金曜日の夜、6巻を読んでしまった。

ああ、この土日どうすれば?

読みたい。

先が知りたい。

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結局、マンガ喫茶に4時間篭ってしまった。

とりつかれたようにマンガ喫茶のリクライニングシートで読み耽って読了してしまった。


そして帰ってきて、ふと我に返って、書き留めておこうと思ったのが今日のブログ。


◇  ◇  ◇


この漫画、いろいろな意味ですごい。


勿論、気付く点はいくつもある。

いくら凶悪犯罪者だからといって軽すぎる死の描き方。

例えば死体を描かなかったり、強烈な死の場面を描かないところ。

これは意識的なものだと思う。

主人公の心が見えない点。

犯罪のない社会の建設という理想は、恋愛や家族愛など身近な人への愛情に勝るものなのか。

私はこういう立場になったことがないのでわからないが、もっと人間の愛情というものは、何にもまして優先される感情ではないかと思うのだ。

でも逆に、ノートを私利私欲のためではなくて、犯罪のない社会の建設という理想のために使う、感情に左右されない人間、主人公・夜神月の、常人には理解できない強靭なメンタリティーを描くことにあるとしたら…


と、まあいろいろ考えるところはあったのだが、

結局、この漫画のテーマは、こういう特殊な設定の中での知的ゲームを描くことにあったんだと思う。

どっちが勝つかというゲーム、とんでもなく大きな設定の中でやればよりスリリングだ。

少年漫画はここまできたか〜というのがいまの感想。

舞台がどんどん巨大になり、ついには死を自由に出来ることまでもが設定の一部になった。


すごい作品だ。