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『グリル生研会館』・白沙村荘・糺の森・下鴨神社

2月3月と、新型コロナウイルス肺炎が猛威を振るっており仕事以外の外出を控えていることもあって、カメラを持って出かけることが少なくなってしまった。こういう時期の休日は自転車で近くをサイクリングするか、好きな音楽を聴いて過ごすくらいしかすることがないが、病気が流行る前のことを振り返る良い機会かもしれない。私は秋から冬にかけ、結構いろいろなところに出かけて行った。


◇  ◇  ◇


糺の森下鴨神社の近くに『グリル生研会館』という洋食店がある。


京都の洋食界における有名店であり、ずっと行きたかった店だが、いままで行くチャンスがなかった。過去に京都に住み、その後、大阪に引っ越してからも京都へは数えきれないくらい通ったが、行く機会がなかった。どこかに訪れるついでと考えた時には12時開店で14時閉店というのが意外に都合が悪いのと、人気店なので混んでいた場合に待つのが憂鬱だったということがある。


何年か越しになってしまったが、そろそろ行ってみようかとその日、思った。店に行くことを中心に考え、その前後に予定を組む形にすれば、12時開店はそれほどネックにはならないはずだ。また平日の休みであれば、店もそれほど混まないだろう。私は、周辺の観光スポット、白沙村荘橋本関雪記念館、下鴨神社、旧三井家下鴨別邸あたりを散策しながら、12時過ぎに『グリル生研会館』に到着するプランを立てた。特に早起きしたわけでもないのに、とても簡単なことだった。どうしていままでそんなに簡単なことができなかったのだろうか。



『グリル生研会館』は、やや速足で歩いて出町柳駅より徒歩10分ほど。既に白沙村荘橋本関雪記念館で時間を使い、到着した時には12時を少し回っていた。待っている人はいなかったが、既に店内は満席で、私は店内の椅子でしばらく待つことにした。開店してそれほど時間が経っておらず、皆が食べ始めたか注文を始めるくらいの時間なのですこし待つことになるだろう。少しして、観光客風の50歳くらいの夫婦がやってきて、私の後に待つことになった。その後は、だれもやって来ず、待つ人は出なかった。


店内を見渡すと全体的に年齢層は高めで、雰囲気は落ち着いている。店内は豪勢な作りではなく、清潔感はあるがシンプルでややがらんとしていて、普通の洋館の広い部屋のようだ。すべてがテーブル席で、カウンターはない。順番によって、一人でも四人掛けのテーブルに通されるシステムだ。料理がすぐに提供されて食べたらすぐに出ていくタイプの食堂という感じではなく、料理が提供されるまでの時間もそれなりにかかっている。注文を聞くのもそれほどせかせかしていない。しかし待つことになっても、自分の順番ではマイペースの時間を過ごすことができる。私はこういう店が良い。


ようやく席が空いて通される。こういう店で注文するものはだいたい決まっている。定番が正解だ。ハンバーグが有名な店なのでハンバーグは外せない。それにエビフライとカニクリームコロッケがセットされるメニューあった。これが鉄板だと思う。1800円。安くはないが、ここは京都の老舗のレストランなのだ。



私は先にグラスビールを注文して料理が提供されるのを楽しみに待つ。ジョッキでは多い。グラスがちょうどよい。



料理全景。10分くらいで料理が提供される。まだビールは少し残っている。



近景。私は残ったビールを飲み干して、食事に取り掛かる。まずはハンバーグから。牛肉の割合たっぷりで本格的なものだ。今まで食べたハンバーグの中でも最高に近い。私の中の美味しいハンバーグの基準は、それぞれテイストは違うが、心斎橋の『グリルばらの木』、千日前の『重亭』が双璧だが、それに肉薄する。タイプとしては両者の中間のような感じだ。


エビフライは小ぶりだが、たっぷりと身が詰まっている。また、小さなカニクリームコロッケが嬉しい。意外にあっさりしている。衣がサクサクで、これは何個でも食べられる。


私は窓際の席で、ひとり京都の洋食店でゆったりとした時間を過ごしている。窓越し、晩秋から初冬の優しく控えめな日差しが心地よい。隣の席は若い女性客の四人組で、いくつかのメインとなる料理をシェアして食べていた。私が食べ終わることには店も空いてきて、空席ばかりになった。人気店なので混んでいるかもしれないということは杞憂に終わった。


■白沙村荘橋本関雪記念館



白沙村荘は、日本画家の橋本関雪のアトリエ兼別荘として作られた。画家の理想、美学が散りばめられている。池泉回遊式庭園は国の名勝に指定されている。庭園のほかに橋本関雪の作品を収めた美術館が見どころとなっている。白沙村荘橋本関雪美術館も以前から行きたかったが、何故か行くチャンスがなかった。今回、『グリル生研会館』と一緒に訪れることができて良かった。


下鴨神社糺の森



京都市内の森」というと糺の森が真っ先に思い出される。森というほど鬱蒼としているわけではないが、木々の間を抜けたところに下鴨神社がある、というのが良い。糺の森と言えば夏の古本市で、あれはとても風情のあるものだと思い出した。私は下鴨神社の境内の茶店で、さきほど豪華な洋食を食べたにもかかわらず、ぜんざいを食べる。


■旧三井家下鴨別邸



財閥・三井家の別邸として建築され、その後、京都家庭裁判所の所長宿舎として利用されるなどの変遷を経て、現在は一般公開されている。重要文化財


写真を見直してみると、紅葉の最後の頃だった。あの時は、新型コロナウイルスが世界中で大変なことになるなんて想像できなかった。また、あの日のような平穏な日常を取り戻すことができるだろうか。

【グリル生研会館 】

住所:京都市左京区下鴨森本町15 生産開発科学研究所ビル1F
営業時間:12時~14時/17時~20時(30分前ラストオーダー)
定休日:水曜夜・木曜