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モーツァルト・交響曲第40番


モーツァルトが書いたジャンルの中で、ピアノ協奏曲、オペラがそうであるように、交響曲も傑作の宝庫です。


全集を買って宝探しのように「自分だけの宝物」を探すのも悪くないでしょう。

好きな曲が見つかったら、違った指揮者やオーケストラのCDを揃えて聴き比べてみるのも良いでしょう。


私がとりわけ好きなのは、小ト短調ともいえる第25番、第35番「ハフナー」、第36番「リンツ」、そして第38番「プラハ」から第41番「ジュピター」までの全て。これらに順位をつけることはできません。全部が素晴らしいからです。


今日はその中から、第40番ト短調について書きます。


この曲はモーツァルト交響曲の中で一二を争う人気曲です。第一楽章冒頭の物悲しい旋律を聴いただけでこの曲の虜になり、クラシックはこの曲だけでいいと思うほどです。

深い悲しみを湛えた曲なのにことさらにドラマチックなわけでなく、何というか、気高いのです。

私もこの曲をはじめて聴いてから暫くの間は、この曲だけしか聴かない時期がありました。

第40番だけで十分なのです。

とても魅力的な曲だといえます。

モーツァルトが天才である所以は、明るい曲、長調の曲で悲しみを表現できたことにもあると言われることがありますが、この曲の素晴らしさは理屈を超えます。


モーツァルト:交響曲第25&40番

モーツァルト:交響曲第25&40番


今日挙げたCDは2枚です。レヴァイン指揮のものは割と新しい録音のためか、音質は抜群に良いです。ウィーン・フィル音の素晴らしさが伝わってきます。テンポもやや速めで現代的、この演奏に違和感を感じる人は少ないでしょう。ワルター指揮の方はモノラル録音で音質はお世辞にも良いとは言えません。しかしどういうわけでしょう、この気品を湛えたウィーン・フィルの音は。現代のウィーン・フィルモーツァルトの録音でこのような音は聴いたことがありません。部分によって音がやや上ずるように感じるのですがそれが何ともいえない独特のムードを作り出しています。音が良くない中にも伝わってくる、高雅さ。ウィーン・フィルのプライド。それを包み込む指揮者ワルターの包容力。これは映画『アマデウス』の世界です。あの時代ウィーンではこんな風な演奏がされていたんでしょう。楽譜を超えた演奏の伝統に感動するCDです。


◇  ◇  ◇


同じウィーン・フィル。時代を超えてモーツァルトを味わう。


そんな定点観測をしてみました。